先進的な国産装備がなければ、日本の防衛は持続できない。新たに開催されたシンポジウムは、産業基盤の立て直しがいまや国家的な急務であることを示した。
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シンポジウムで講演を行う元防衛大臣補佐官の和田義明氏=6月21日午後、東京都千代田区(梶山裕生撮影)

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地政学的緊張が激化する中、日本の防衛産業は歴史的な分岐点に立たされている。最近開催されたシンポジウム「日本を強くする防衛産業」では、主要な政界関係者、防衛専門家、業界関係者が一堂に会し、日本の防衛生産能力を再生させる喫緊の必要性に正面から向き合った。

メッセージは明確だった。日本が脅威を抑止し、戦略的自立を確立する力は、自衛隊を装備する産業のエンジンにかかっている。

戦略環境の変化

講演者の一人である和田義明元防衛大臣補佐官は、地域の安全保障情勢について率直な評価から講演を始めた。中国とロシアは現在、合計で100万人を超える兵力と約1,000隻の艦艇を擁しており、その規模は日本と米国の地域における共同戦力をはるかに凌駕している。

軍事的な有効性は単純な数の比較だけでは測れないものの、和田氏は脅威を過小評価することへの警鐘を鳴らし、「ウクライナから学ばなければならない。かつては考えられなかった事態が現実となり得る」と述べた。

シンポジウムで講演する和田義明元防衛大臣補佐官=6月21日、東京都千代田区(梶山裕生撮影)

シンポジウムでは、台湾が潜在的な火種であり、日本に重大な影響を及ぼす可能性があると位置づけられた。中国による軍事行動は、日本のエネルギーや食料供給の生命線である海上交通路を麻痺させかねない。和田氏は「台湾有事は台湾だけの問題ではない。日本の問題であり、世界経済の問題でもある」と強調した。

国力としての防衛産業

こうした情勢の中、自民党議員で前防衛大臣の木原稔氏は、日本の防衛体制が二つの柱に支えられていることを聴衆に想起させた。それは自衛隊員と防衛装備である。木原氏は「先進的な国産装備がなければ、いかに熟練した部隊であっても任務を遂行できない」と指摘した。

この見解は制度面でも定着しつつある。2022年に改定された国家安全保障戦略では、防衛産業基盤を防衛力そのものの一部と明確に位置づけている。

それでも木原氏は、多くの日本企業にとって防衛は依然として周縁的な事業であり、資金面でも評価面でも不十分で、政治的にもデリケートであると認めた。場合によっては、風評リスクを恐れて防衛分野から撤退する企業さえある。

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産業の課題:構造、インセンティブ、期待

元防衛装備庁長官の深山延暁氏は、日本の防衛産業が直面する主な課題として、構造的脆弱性、グローバルなサプライチェーンの混乱、そして低い利益率の三つを挙げた。

米国とは異なり、日本には防衛専業メーカーが存在しない。多くの企業が防衛を副業として位置づけており、市場や政治情勢の変動に対して非常に脆弱である。また、従来は国内需要に依存してきたため、調達モデルが単一的である。深山氏は「つい最近まで、防衛装備の顧客は日本政府だけだった」と語った。

防衛生産基盤・技術基盤強化法や輸出促進などの政策は前進ではあるものの、深山氏は「これらはビタミンのようなもので、主食にはなり得ない。本当に必要なのは、安定的で長期的な調達だ。それこそがこの産業にとっての『米』だ」と強調した。

二重の使命:自立とグローバル統合

慶應義塾大学の謙教授は、ロシアによるウクライナ侵攻以降、世界の防衛経済が進める戦略的転換について論じ、「戦争は短期で技術主導型だという前提は崩壊した。今や、産業のレジリエンスが死活的となる長期かつハイブリッドな紛争の時代に入っている」と述べた。

この状況は、即応性と持続可能性のバランスを取り直すことを求めるものである。ドイツやポーランドのような国々は防衛予算を増額し、備蓄を再構築している。EUも共同調達スキームを推進している。一方、米国もウクライナやイスラエル向け供給で見られるように、防衛産業のボトルネックに直面している。

神保氏はさらに、日本が難しいトレードオフに向き合う必要があると強調した。すなわち、自立のための国内生産を維持しつつ、国際的な産業協力を深めてイノベーションを加速し、市場アクセスを拡大することである。「鍵となるのは自給自足ではなく、ライセンス、共同開発、サプライチェーンの統合だ」と述べた。

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メーカーの視点:三菱電機

業界代表として、三菱電機の洗井昌彦氏は、需要の急増に応えるため同社が進める大胆な取り組みを紹介した。その中には700億円(約4億5,000万ドル)超の新規投資や、防衛分野の人員を1,000人増員する計画が含まれている。

新井氏は再生に向けた三つの戦略的柱を示した。

  1. 国内即応態勢 — 防衛契約の増大を見据え、生産・整備能力を拡充すること。
  2. 地政学的関与 — 防衛装備の輸出を外交と地域安全保障の手段として位置づけること。
  3. グローバル協業 — 共同開発を通じて、同盟国やパートナーとの強靭なサプライチェーンを構築すること。

洗井氏は「我々の産業は、もはや内向きにとどまってはいられない。戦略的に、グローバルに、そして長期的に考えなければならない」と語った。

利益を超えて:価値の再考

シンポジウムを通じて、参加者は一貫して同じ核心的な問いに立ち返った。防衛を戦略的に魅力ある、かつ商業的に成立する産業分野にいかに育てるかという問題である。現行制度では利益率が3%を下回ることも多く、投資や人材確保を阻む要因となっている。一方で、環境・社会・ガバナンス(ESG)への配慮が、防衛を一部企業にとって風評リスクの高い事業にしている。

基調講演を行う衆議院議員の木原稔氏=6月21日、東京都千代田区(梶山裕生撮影)

しかし、登壇者たちは、防衛を民間の商業的な尺度だけで評価すべきだという考えに異を唱えた。木原氏は「これは単なるビジネスではない。国家の安全保障がかかっている。主権も同様だ。最終的には、抑止と敗北の分かれ目になる」と述べた。

登壇者が指摘したように、日本の防衛産業はもはや単なる装備の供給者ではなく、戦略的な主体となっている。今日の安全保障環境でその生存と競争力を確保するためには、補助金や制度改革だけでは不十分である。日本の平和、主権、繁栄を守るうえで、防衛生産が果たす決定的な役割について、国家的な合意が必要となるだろう。

著者:ダニエル・マニング(JAPAN Forward記者)

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