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複数の感染症が同時流行している。季節性インフルエンザが例年より早く流行期に入ったほか、新型コロナウイルスの患者数も増加している。
令和2年以降の新型コロナ禍では感染症への警戒感が強かった。人と人の接触機会も減り、結果的に他の疾患の流行も抑えられていた。反動で昨年はインフルエンザが拡大した。今年の同時流行も、コロナ禍の反動が続いているのだろう。
だが、警戒感を緩めてはならない。このままでは医療機関が逼迫(ひっぱく)する懸念がある。
感染防止には一人一人の心掛けが大切だ。手洗いや手指のアルコール消毒、マスクの着用、家庭内でタオルを共有しないことなど、基本的な対策を改めて徹底したい。厚生労働省は、医療機関で検査薬や治療薬が不足しないよう万全の注意を払ってもらいたい。
厚労省によると、全国に約5千ある定点医療機関から11月3日までの1週間に報告されたインフルエンザの患者数は1医療機関あたり1・04人となり、流行期入りの目安となる1人を超えた。17日までの1週間では1・88人に増え、今後さらに拡大する恐れもある。
インフルエンザの流行期は12月以降に始まることが多く、1年を通じて流行した昨年を除けば過去2番目に早い状況だ。
一方、17日までの新型コロナの患者数は1医療機関あたり1・90人に上った。前週の1・29倍で、約3カ月ぶりに増加に転じた。秋田県が6・33人で突出しており、岩手県、北海道が続く。新型コロナは夏、冬にピークがあり、例年通りなら流行期に入る時期だ。
インフルエンザや新型コロナは、65歳以上の高齢者や基礎疾患のある人には重症化のリスクがあり、油断は禁物である。政府はワクチン接種を推奨している。ぜひ検討してほしい。
このほか、夏から流行しているマイコプラズマ肺炎や、子供が感染しやすい「手足口病」などにも注意が必要だ。患者数は減少してきたとはいえ、例年に比べると、依然として高水準である。
いずれの疾患も飛沫(ひまつ)などにより感染する。発熱などの症状があれば出社や登校をしないのは当然である。医療機関を受診し、適度な湿度と栄養を取って休養に努めたい。
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2024年11月29日付産経新聞【主張】を転載しています
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