千葉工業大の伊藤穣一学長=千葉県習志野市(山本雅人撮影)
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少女への性的虐待などの罪で起訴され自殺した米富豪エプスタイン氏との関係が報じられた伊藤穣一氏が、政府の「グローバル・スタートアップ・キャンパス(GSC)構想」の運営委員に再任されない見通しであることが3月2日、関係者への取材で分かった。米紙ニューヨーク・タイムズは、構想に伊藤氏が関わっていることが海外からの協力の障害になっていると報じていた。

4千通以上のメールやり取り
GSC構想は岸田文雄政権の「新しい資本主義」の一環として始まり、世界のトップレベルの研究者や起業家を日本に呼び込み、先端技術分野の起業を後押しする計画。拠点は東京都目黒区にある防衛装備庁艦艇装備研究所の隣接地への建設が予定されている。計636億円の基金を創設し、令和10年度ごろの本格稼働を目指すとしてきたが、進捗していない。
伊藤氏は昨年7月までエクゼクティブアドバイザー(顧問)を務め、現在はステアリングコミッティ(運営委員会)の構成員として中心的役割を果たしてきた。今月末で任期満了を迎えるが、再任されない方向だという。一方、内閣官房は「今後については現時点では決まっていない」としている。
ニューヨーク・タイムズは2月26日付で、伊藤氏がエプスタイン氏からの資金提供などを理由に2019年に米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長を辞任したことや、米司法省が公開した「エプスタイン文書」にエプスタイン氏との4千通以上のメールのやり取りがあったことなどを詳しく伝えた。
その上で、GSC構想について「伊藤氏の関与により、MIT、ハーバード大、カーネギーメロン大や、慶応大など日本の大学は、パートナー候補として打診されたものの、この取り組みから距離を置くようになった」とした。
昨年、国会でも質問
立憲民主党(現・中道改革連合)の本庄知史前衆院議員は昨年、この問題を国会で3回取り上げた。政府側は「伊藤氏が海外の関係機関との連携の障壁になっていないと考える」(辻清人内閣府副大臣)、「障害になっているという指摘は伊藤氏の名誉を不当に傷つけるものだ」(城内実科学技術政策担当相)との立場を繰り返した。
本庄氏は今年2月の衆院選で落選。本庄氏の努力もむなしく、中道の小川淳也代表は就任記者会見で、エプスタイン文書について問われ、「不勉強で申し訳ない」と知らないことを明かした。
伊藤氏はデジタル庁の「デジタル社会構想会議」のメンバーも務めている。松本尚デジタル相は2月27日の記者会見で、エプスタイン氏との関係について「不確実な情報でコメントすることはない」と話した。
茂木敏充外相は同月20日の記者会見で、エプスタイン文書について「恐らく日本の政治家や政府関係者の関与が出ていることはない。外務省として現時点で関与を承知していない」と述べていた。
伊藤氏が学長を務める千葉工業大は、「伊藤氏が違法や不正な行為に一切関与していないことを確認した」としている。
筆者:渡辺浩(産経新聞)
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