
フジテレビ本社=東京都港区台場
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フジテレビが経営体制を刷新した。元タレントの中居正広さんと女性のトラブルを巡る問題で、再発防止に向けた責任と改革の姿勢を明確にするものだ。再生に向けた一歩である。新体制で信頼回復を図ってほしい。
同社と親会社フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の取締役会が27日行われ新役員人事が発表された。それぞれ取締役数を減らし、意思決定を迅速化するほか、若手を登用する。フジテレビでは女性取締役が3割に増えた。

引責辞任した港浩一前社長に代わり、1月に就任したフジテレビの清水賢治社長は続投し、FMH社長を兼ねる。清水社長は新体制について「透明性の高いガバナンス(組織統治)を行う」などと語った。
この問題を調査する外部の弁護士による第三者委員会が設置され、近く報告が行われる。清水社長はこれまでも「今後も社内のあらゆる制度、風土、意識について聖域なき改革を実行し、信頼回復を目指す」と語ってきた。言葉通り、再生へあらゆる手を打ってもらいたい。
一連の問題は、昨年12月に週刊誌が中居さんと女性のトラブルを報じたのがきっかけだ。
トラブルは一昨年6月に起きた。女性からの相談でフジテレビ幹部が把握しながら、コンプライアンス部門とも情報共有されないなど、対応が遅れた。放送メディアとして情報発信のあり方も批判を浴びた。

フジテレビはこれまで社内に設置した「再生・改革プロジェクト本部」などで再発防止や改革を検討してきた。
コンプライアンス組織の体制強化など組織統治の改善が進められる。実効性ある体制をつくるのはいうまでもない。
社員が会食や会合に出席する際は参加者の人権の尊重を最優先するなどガイドラインを策定した。
接待相手が地位を利用するなどして女性がトラブルにあうケースは、どの企業にとっても人ごとではない。弱い立場の者を守りきる会社になれるかが問われている。
健全な組織統治は、番組など良質なコンテンツ作りを支える。放送メディアとして今後の取り組みが注視される。
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2025年3月28日付産経新聞【主張】を転載しています
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