SNS投稿で「バズる大使」として人気のティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使が産経新聞の取材に応じた。ウクライナへの支持を改めて表明し、日本の安全保障を固める動きを評価した。
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インタビューに応じるティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使=東京都港区のジョージア大使館(酒井真大撮影)

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ユーモアあふれるX(旧ツイッター)への投稿で「バズる大使」として人気のティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使が産経新聞の取材に応じた。ロシアに侵略され領土の2割を不法占拠される中、「領土回復なきロシアとの外交関係の復活はない」と明言。ウクライナへの支持を改めて表明し、日本の安全保障を固める動きを評価した。

「初バズり」は天皇陛下の即位の礼

レジャバ大使は37歳。父親の研究の都合で4歳で初来日した後、母国と行き来しながら小中高と日本の学校に通い、早稲田大を卒業した。初めての就職先も日本企業で、Xを始めたのは「一歩踏み込んだ日本の社会」を知っている分、多くの日本人に「ジョージアの文化」を伝えられると考えたからだ。天皇陛下の即位の礼に出席した際に着用した民族衣装が「風の谷のナウシカ」の衣装のようだと話題になり、現在のフォロワー数は35万人を超えている。

ジョージアワインや郷土料理シュクメルリの紹介など明るい話題の投稿が目立つ一方、国際情勢に関する大使の認識は「世界大戦につながってもおかしくない」と厳しい。2008年にロシアに侵略され、南オセチア(ジョージア名ツヒンヴァリ)とアブアジアを占領されている上、22年に始まったロシアのウクライナ全面侵攻を目の当たりにしているからだ。

力による現状変更「あってはならない」

大使は「力による現状変更はあってはならない。法の支配は大切だ」と述べ、ウクライナ支持を明確にする日本の立場との共通点を指摘する。ロシアや中国、北朝鮮に囲まれる日本について「これまでにないくらいのスピード感で安全保障を固める動きが進んでいる」とし、かつてのような「平和ボケ」と揶揄する声は「最近ほとんど聞かなくなった」とも語った。

民族衣装「チョハ」を着て、水色のワイン「ケサネ」を手にする、ジョージアのティムラズ・レジャバ駐日大使(関勝行撮影)
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EU、NATOへの加盟を目指す

他方、ジョージアの政権与党「ジョージアの夢」の外交姿勢は「親露派」とも指摘される。大使は、若山牧水の短歌「白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染そまずただよふ」を引き、周囲の色に溶け込まず自らの色を保つことへの誇りを示した上で「うまくバランスを取らないと国の存亡の危機にもつながりかねない」と説明。ジョージアが憲法に掲げる「欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)への加盟を目指すゴールは変わらない」と語った。

筆者:平田雄介、水内茂幸(産経新聞)

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