「世界の都市総合力ランキング2025」が発表され、東京が過去最高の2位にランクインした。文化・交流分野での評価の向上などが順位上昇に寄与した一方、経済分野では相対的な競争力低下もみられ、課題も浮き彫りとなっている。
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東京のビル群(©Japan Forward)

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一般財団法人森記念財団 都市戦略研究所は12月17日、「世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index:GPCI)2025」を発表、東京が過去最高の2位にランクインした。文化・交流分野での評価の向上や、環境への取り組みが順位上昇に寄与した一方、経済分野では相対的な競争力低下もみられ、課題も浮き彫りとなっている。

東京が初の世界2位に

2025年の上位3都市は、1位ロンドン、2位東京、3位ニューヨークとなった。

ロンドンは14年連続で首位を維持した。国際金融ハブとしての地位に加え、優れた人材集積力やコンテンツ産業の競争力などが高く評価された。一方で、インフレを背景とした住宅費の高騰が、居住環境面での評価を押し下げる要因となっている。

東京は今回、初めてGPCIで2位を記録した。特徴的なのは、居住環境の安定性に加え、文化・交流分野での評価の大幅な上昇で、インバウンド需要を支える都市としての文化的魅力の高まりが数値にも表れている。一方、経済分野の順位は前年から低下しており、円安の進行など外部環境の影響がうかがえる。

ニューヨークは前年の2位から3位に順位を落とした。世界的にみても高水準のニューヨークのインフレによる悪影響が顕在化した一方で、金融を中心とする経済力は依然として高く、都市としての強固な経済的地位を維持している。

上位都市に限らず、欧米都市を中心に、インフレや為替変動といった外部環境の変化が順位に影響を与えている点が今回の調査から読み取ることができる。物価や賃料の上昇は、都市生活の負担増として評価に反映されている。

ランキングを発表する市川宏雄氏(左)と竹中平蔵氏(右)(©Japan Forward)

文化・交流分野で存在感を高める日本の都市

日本の都市では、特に文化・交流分野での成長が目立つ。東京はナイトライフ充実度の評価においてロンドンを上回った。この傾向は東京に限らず、大阪、上海、北京、ソウルなど、東アジアの主要都市にも共通して見られる。

大阪も前年から順位を上げて18位となった。発表の会見で、明治大学名誉教授で森記念財団理事の市川宏雄氏は、今回の調査データの多くが大阪・関西万博開幕前のものであり、万博開催期間中のインバウンド需要や経済効果を反映していない点を指摘した。

市川氏は、大型国際イベントの開催前後には都市の成長が加速する傾向があると述べ、万博開催が大阪の都市力成長に一定のプラスの影響を与えているとの見方を示した。

都市競争力の源泉としての高度人材

都市間競争が激化する中、都市のポテンシャルを拡張する要素として高度人材の獲得・定着も重要な論点として挙げられた。東京は高度人材分野で4位に位置する一方、GPCI金融センター編では19位にとどまり、ロンドンやニューヨークに加え、香港やシンガポールといったアジアの金融都市との差が浮き彫りとなっている。

また、GPCIスタートアップ・エコシステム編においても、起業人材の育成や教育環境の強化が、今後の東京の成長にとって重要な課題として指摘された。

Japan Forwardの質問に対し、慶應義塾大学名誉教授で森記念財団都市戦略研究所所長の竹中平蔵氏は、労働市場改革の重要性を強調した。

「労働市場の改革は最重要課題の一つで、より柔軟な制度へと転換していく必要がある」

Heizo Takenaka responds to a question from a JAPAN Forward reporter. (©JAPAN Forward)

外部環境への対応が都市力を左右する時代へ

本年度の調査からは、都市が自らの魅力を高める取り組みだけではなく、インフレや為替変動といった不確実性の高い外部環境変化にいかに対応するかが、都市力を左右する重要な要素となっていることが浮かび上がる。

外部環境の変化を踏まえつつ、自都市の強みをどのように進化させていくのか。今後、各都市にはより戦略的で柔軟な対応力が求められていくことになりそうだ。

(JAPAN Forward)

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