スマートフォンでこけしを撮影する外国人=東京都品川区の大井競馬場(松井英幸撮影)
This post is also available in: English
東京都品川区の大井競馬場で週末に開催されているフリーマーケット「Tokyo City Flea Market」は、客の大半が外国人だ。歩けばさまざまな言語が飛び交い、思い思いに買い物を楽しむ姿がみられる。訪日外国人はどんな掘り出し物を見つけようとしているのか。
こけし、とっくり、ゲーム機も
地面にずらりと並ぶ、とっくりやおちょこ。しゃがみこんで一つ一つ手に取り、形や色合いを確かめる外国人客がいた。日本酒をおいしく飲むのに欠かせない酒器は、日本らしい商品の一つだ。

こけしを陳列する店では、スマートフォンのカメラを向ける人の姿が目立つ。日本人の暮らしに溶け込む素朴な人形は「写真映え」するらしい。
「昭和の風景」を吟味
古物商の山下忠文さん(62)のブースにも、多くの外国人観光客が足を止めていた。富士山や温泉街、地方都市の街並みが写った絵はがきを一枚ずつ吟味する。「昭和40年代のポストカードが人気。昔の日本の風景を珍しがる人が多い」と山下さん。


(右)ポストカードのデザインを一枚一枚確認する(松井英幸撮影)
日本版にこだわり
日本の人気コンテンツの一つといえばゲームだ。スーパーファミコンのカセットなどを取り扱う店をのぞいてみると、オーストラリアから訪れた男性がゲームボーイカラーとテトリスをセットで購入していた。「レトロゲームが大好き。日本で購入できてうれしい」と笑顔を見せた。

出店する須田宏美さんによると、購入者の9割が外国人。クラシックなゲームが人気で、特に日本のオリジナル版を探す人が多いという。「最近はお客さんの目も肥えてきた。ポケモンでもマリオでも日本版にこだわる人が増えている」と話す。
普段は競馬ファンでにぎわう大井競馬場。ここでフリーマーケットが開催されていることを、彼らはどうやって知ったのだろう。複数の来場者にきいてみたところ、「TikTokやInstagramで知った」との回答が返ってきた。SNS(交流サイト)上の口コミが彼らをここに運んだようだ。
外国人が買い、外国人が広める―。週末の競馬場は、日本の古物を観光資源に「穴場」に姿を変えていた。
筆者:松井英幸(産経新聞)
This post is also available in: English

