
外国人労働者向け集合住宅の建設予定地。奥に見えるのは羊蹄山=北海道倶知安町(ニセード・サービシーズ提供)
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世界的なスノーリゾートで知られる北海道倶知安町(くっちゃんちょう)で、外国人労働者らを対象に約1200人規模の共同住宅を農地に開発する計画を巡り、北海道が建設を可能とする農地転用を許可した。事業者の計画が審査基準を満たし、周辺農地に影響が少ないと判断した。ただ、同町を含むニセコエリアでは外国人との共生を巡るトラブルが続発しており、懸念も広がっている。

計画によると、JR倶知安駅の南東約700メートルに位置する約2・7ヘクタールの農地に、2~3階建ての共同住宅30棟を建設。冬季にリゾートで働く外国人労働者らの入居を想定し、居住者数は町の人口約1万4千人(8月末時点)の1割弱にあたる最大1200人を見込む。
町によると、農地は「第3種農地」で市街地近くにあり、条件を満たせば原則転用が許される。ただ、同町の農業委員会は7月、計画を巡り、治安悪化への懸念を理由に全会一致で否決。転用に反対する意見書を道農業委員会に送付したが、その後「許可相当」と判断されたため、道に転用を申請する際に「(転用は)やむを得ない」との意見書を添える異例の経緯をたどった。

また、地域住民らでつくる団体も9月、道に開発計画に反対する署名を提出していた。
開発を手掛けるのは、シンガポールの投資会社が保有する同町の不動産会社「ニセード・サービシーズ」。同社によれば、建設予定地から約5キロ離れたスキー場や宿泊施設で働く外国人労働者が主な入居者と想定し、カフェなども入る計画がある。
筆者:白岩賢太(産経新聞)
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