昨年で15周年の節目を迎えた「ホッカイドウ競馬」のナイトレース。照明で輝くコースを疾走するサラブレッドの雄姿に胸が躍る。
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出走シーンも間近で楽しめる=4月16日、門別競馬場(坂本隆浩撮影)

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「ホッカイドウ競馬」の名称で開催されている北海道営の地方競馬は北海道日高町の門別競馬場が舞台だ。人気の源にあるのは昨年で15周年の節目を迎えたナイトレース「グランシャリオナイター」。シーズン開幕の4月16日は地元や札幌周辺などから約1500人が集結。照明で輝くコースを疾走するサラブレッドの雄姿に胸を躍らせた。

牧場点在、90キロの優駿浪漫街道

日高町などの日高地方はサラブレッド生産牧場が全国で最も多い地域とされる。日高町の門別競馬場前から浦河町の天馬街道入り口までの国道235号の約90キロ区間は「優駿浪漫街道」と呼ばれており、多くの馬牧場が点在。牧草をはんだり、牧草地を駆け回ったりしている馬たちの姿を楽しめるのが魅力だ。

門別競馬場までは高速道路の道央自動車道を利用し、札幌から車で約1時間半の距離。レース開催日は毎日、JR札幌駅前発着で無料送迎バス(予約制)を運行している。今シーズンは日高の観光牧場などに立ち寄るコースを新設したこともあり、開幕初日に過去最多となる3台態勢で運行するなど人気の高さを感じた。

Watch highlights from the opening day.

競走馬が目の前に

無料送迎バスは第1レース出走前の午後2時ごろに門別競馬場に到着。開幕日はイベントや先着プレゼント配布などで早い時間からファンでにぎわっていた。

注目を集めたのは出走前に馬の様子を下見するパドック。柵越しに見るサラブレッドとの距離はわずか1~2メートルほどで、札幌から観戦に来た60代の女性会社員は「こんなに近くで見られるとは思わなかった」と鍛え抜かれた馬体に見入っていた。

レースは午後2時20分に第1競走が行われ、その後は最終の第12競走まで30~40分きざみで行われる。スタンドで観戦していた50代の男性会社員は「コースでウオーミングアップする馬の息遣いがここからも聞こえる。馬との距離が近いのが地方競馬の醍醐味(だいごみ)」と魅力を語った。

ナイターならではの醍醐味が味わえる=4月16日、門別競馬場(坂本隆浩撮影)

情報発信も活発

ホッカイドウ競馬が始まったのは昭和23年。かつては道内6カ所の地方競馬場で開催していたが、巨額赤字が続いたため平成22年、門別競馬場に一本化された。

今季は開幕の4月16日から11月13日までの毎週火・水・木を基本に、31週85日間の日程でレースを開催。名物の「グランシャリオナイター」は、フランス語で北の夜空の道標となる北斗七星と、日高地方にある7つの町を表した愛称で、照明が当たった白砂のダートコースを疾走する様子がファンにとってはたまらないという。

ホッカイドウ競馬の令和6年度の年間売上額は過去最高の543億円で、この12年間は黒字が続いている。競馬場を受託運営している北海道軽種馬振興公社の広報担当、村上尚(あきら)さんによると、売り上げの92%はネット販売によるもので「全国の競馬ファンに支えていただき感謝です」と話す。

令和5年にはファンサービスの一環として動画共有サイト「ユーチューブ」に「公式ホッカイドウ競馬チャンネル」を開設。今季からは全レース情報の発信を始めるなど魅力度アップにも力を入れる。村上さんは日高管内の観光スポットや大型イベントなどを紹介しながら「観光旅行の合間に競馬場でのひと時も楽しんでもらえれば」と来場を呼び掛けている。

筆者:坂本隆浩(産経新聞)

  • 住所:北海道沙流郡日高町富川駒丘76の1
  • 電話番号:01456-2-4110
  • アクセス:◆JR札幌駅北口団体バス乗り場発着の無料送迎バス「ほっとバス」(要予約)で約1時間半。ホッカイドウ競馬のホームページに予約リンクあり。◆札幌や新千歳空港から車利用の場合は道央自動車道「苫小牧東IC」から日高自動車道「沼ノ端東IC」を経由し「鵡川IC」で下車。国道235号を浦河方面に向かって約15分。駐車場無料。

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