米国とイスラエルによるイラン攻撃で、原油輸送の要衝ホルムズ海峡の通航が止まった。日本は必要が生じれば、いつでも海自掃海部隊を派遣できるよう準備しておくべきだ。
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ロイター通信が3月1日に入手した、攻撃を受けて黒煙を上げるタンカーの画像=オマーン沖

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米国とイスラエルが核兵器開発を放棄しないイランを攻撃し、最高指導者ハメネイ師を殺害するなど同国指導部を壊滅させた。

トランプ米大統領は事態の泥沼化になりかねない陸上兵力派遣には慎重なもようだ。

イランはミサイルや無人機(ドローン)などで反撃している。開戦冒頭の米イスラエルによる圧倒的な攻撃にさらされたイラン側は、十分な組織的攻撃は難しくなっている。

もっとも油断は禁物だ。高市早苗政権はさまざまな対策を早急に講じてほしい。イスラエルからの退避を求める邦人の輸送計画を進めているのは妥当だ。イラン在留邦人の救出にも万全を期さなければならない。

原油輸送の要衝ホルムズ海峡の通航が止まった。イラン革命防衛隊は米英の石油タンカーを攻撃したと声明を発した。日本は原油輸入の大半を中東に依存している。石油の備蓄は250日以上、液化天然ガス(LNG)の備蓄は3週間程度ある。ただし、原油価格の上昇や為替の変動次第では物価高を招く。展開によっては生活支援を急ぐ必要が出てこよう。

ホルムズ海峡

イランがホルムズ海峡やペルシャ湾に機雷を撒(ま)くかもしれない。世界有数の機雷掃海能力を持つのは海上自衛隊だ。日本は35年前、海自掃海部隊をペルシャ湾に派遣したことがある。高市首相や小泉進次郎防衛相は、必要が生じれば、いつでも掃海部隊を派遣できるよう準備しておくべきだ。

米軍が中東地域に集中すると北東アジアで中国やロシア、北朝鮮が軍事的挑発に出てくる可能性が高まる。自衛隊は警戒態勢を強めてほしい。

イラン攻撃を日本政府が国際法違反と非難しないことへの批判がある。だが、何の咎(とが)もないウクライナへのロシアの侵略と、長年の交渉を経ても核兵器開発を放棄せず、世界にテロ勢力を跋扈(ばっこ)させたイランへの攻撃は同列に論じられない。米国を指弾するより、イラン攻撃が世界情勢や日本の安全保障に与える影響を分析し対応したい。

首相が攻撃の是非には言及せず、イランの核兵器開発を認めないとし「事態の早期沈静化に向け国際社会と連携し、必要なあらゆる外交努力を行う」と述べたのは妥当だ。今月予定のトランプ氏との首脳会談で緊密に意思疎通を図ってほしい。

2026年3月3日付産経新聞【主張】を転載しています

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