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カフェインコントロールを提案する「チューズコーヒー」の岩井順子社長。カフェイン70%や30%のドリップバッグも販売=東京都中央区 (重松明子撮影)

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シャキッと集中力を高めてくれる、一杯のコーヒーに宿るカフェインの作用。頼りになる半面、夜になっても眠れない、胃がむかつくなどの影響も及ぼす。そこで時間帯や体調、目的に応じてカフェイン量を選んで飲むコーヒー習慣「カフェインコントロール」が広がりつつある。レギュラー、デカフェ(ノンカフェイン)、カフェイン半分を選べる専門カフェが注目されており、インスタントコーヒー最大手からもカフェインハーフが発売された。カフェインとうまく付き合うことで、健康や生活の質を高めるねらいだ。

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代謝能力に個人差 加齢で低下も

「仕事前の気合レギュラー」「癒やしの時間に低カフェイン」…。顧客の声が張り出されたカフェ。東京メトロ・日本橋駅近くのチューズコーヒー(東京都中央区)は、カフェインコントロールの実証店舗だ。

超臨界二酸化炭素抽出法により味わいはそのまま、コーヒー豆からカフェインのみを除去する技術を東北大と共同研究しているベンチャー企業、ストーリーラインが運営している。

本日のおすすめ390円(М)などがあり、カフェイン量はレギュラー、ハーフ、デカフェを選べる。「同じ味で同じ値段。カフェインコントロールを当たり前の習慣にしたい」と岩井順子社長(62)。カフェイン除去の研究開発や工程にかかるコストは度外視して提供している。

6年前に起業。EC通販から始め、東北大学ベンチャーパートナーズの出資を受けて一昨年10月に実店舗をオープン。1日100~200人の近隣オフィスワーカーに利用され、購買データを調査分析している。

21日発表の資料によると、低カフェイン(ハーフ、デカフェ)の選択率は45%。夕方(16~18時)が64%と最も多いが、朝(7~9時)も24%に選ばれている。また、過去にカフェインに起因する体調不良経験を持つ人が40%おり、87%が今後もカフェインコントロールを続ける意向を示した。「効果の体感が習慣化につながる。潜在需要は大きい」と岩井さん。将来的には生産国にデカフェ技術を導入し、高付加価値化で経済支援する構想が、ルワンダ政府との間で進められている。

新発売のインスタントコーヒー「ネスカフェ ゴールドブレンド」カフェインハーフ (重松明子撮影)

健康な成人のカフェイン摂取量の目安は1日あたり400ミリグラムまでとされ、140ミリリットルカップでコーヒー5杯分に相当する。過剰摂取による不眠や依存性の問題が指摘されるなか、インスタントコーヒーのシェア1位「ネスカフェ ゴールドブレンド」から20日、カフェインハーフが新発売された。低カフェインでもおいしく飲める豆の選定と焙煎にこだわり「カフェインチョイス」をうたう。

スティックタイプ20本入り希望小売価格506円。EC通販サイトのアマゾンや一部ドラッグストアなどで先行発売中で、東京都渋谷区の実店舗「ネスカフェ原宿」のドリンクメニューにも登場している。

カフェインの作用について、大東文化大スポーツ・健康科学部の福島洋一教授に聞いた。

「脳内には疲労に伴い産生されるアデノシンという物質があり受容体に結合することで眠くなるが、似た構造のカフェインが先に受容体に結合することで眠気を抑える。このためコーヒーを飲むと元気が出て、集中力や注意力を高い状態に戻してくれるのです」

カフェインは30分から1時間で血流に乗って脳に届き、約4時間で半減するという。「特に午後、夕方以降は睡眠に影響しないようコントロールしてほしい。カフェイン代謝の能力は遺伝子レベルでの個人差があり、加齢で弱くなる傾向もあるが、低カフェインコーヒーを活用すればもうひとつの有効成分ポリフェノールも無理なく摂取できます。カフェインは胃酸分泌を促すため空腹で飲むよりは、お菓子などと一緒においしく楽しく休憩してほしい」。会話を伴うコーヒーブレークには、社会的な健康効果もあるそうだ。

自分に合った飲み方を見極め、末永く楽しもう。

筆者:重松明子(産経新聞)

2024年11月23日産経ニュース【近ごろ都に流行るもの】を転載しています

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