防衛省は、反撃能力を備えた長射程ミサイルを国内で初めて配備する。日本への軍事的圧力を強める中国の沿岸部や北朝鮮が射程に入り、地域の平和と安定に向けた抑止力の向上が期待される。
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陸自健軍駐屯地に展示された長射程ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型」の発射機=3月17日午前、熊本市

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防衛省は3月31日、反撃能力(敵基地攻撃能力)を備えた長射程ミサイルを国内で初めて配備する。日本への軍事的圧力を強める中国の沿岸部や北朝鮮が射程に入り、地域の平和と安定に向けた抑止力の向上が期待される。同省は10年ほどかけて国内各地に配備を進める計画で、日本のミサイル網の構築を急ぐ。

敵基地攻撃能力は、令和4年末に策定された国家安全保障戦略など「安保3文書」で保有が明記された。自衛目的で他国領域のミサイル基地などを破壊する能力のことで、長射程ミサイルがその一翼を担う。敵の脅威圏外から攻撃できる「スタンドオフ」能力の一つで、日本の防衛力強化の要に位置付ける。

「12式地対艦誘導弾能力向上型」の地上からの発射試験=2024年10月、東京都の伊豆諸島・新島(防衛装備庁提供)

31日に配備されるのは陸上自衛隊健軍駐屯地(熊本市)で、国産の「12式地対艦誘導弾能力向上型」のうち、車両型の発射機から撃ち出す「地発型」を導入する。約1千キロの飛翔(ひしょう)が可能で、中国の沿岸部の一部や台湾周辺海域が射程に入る。

「島嶼(とうしょ)防衛用高速滑空弾」も同日、富士駐屯地(静岡県)の教育部隊に配備する。関係者によると、射程が数百キロ程度の「早期装備型」で、防衛省は射程を約2千キロに伸ばす能力向上も進めている。

米国防総省によると、中国は1千~3千キロが射程の準中距離弾道ミサイルを令和2年の150発以上から4年間で1300発に増強。米軍は地上発射型の中距離ミサイルを保有してこなかったことから、インド太平洋地域での戦力の非対称性が問題となっている。

防衛省は、南西地域で手薄となっている防衛力を強化するため、これら地上発射型の長射程ミサイルを国内に順次展開する考えだ。

8年度には島嶼防衛用高速滑空弾を陸上自衛隊の上富良野駐屯地(北海道)とえびの駐屯地(宮崎県)に配備。富士駐屯地(静岡県)の教育部隊には、高速滑空弾に加え、9年度に12式能力向上型も導入する。

同省は27日、海上自衛隊のイージス艦「ちょうかい」の改修を米国で完了し、長射程の巡航ミサイル「トマホーク」の発射能力を備えたと発表した。艦艇や航空機から発射する長射程ミサイルの配備計画も進める。

(産経新聞)

■スタンドオフ・ミサイル 相手の圏外となる離れた場所から攻撃できる通常より射程の長いミサイル。各国のレーダーやミサイル技術の進展で、相手の射程外の安全な場所から攻撃する重要性が高まっている。艦艇や航空機からの発射型も令和9年度に配備が始まる。神奈川県・横須賀を母港とする海上自衛隊の護衛艦「てるづき」や、航空自衛隊百里基地(茨城県)のF2戦闘機能力向上型に導入される。

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