先月閉幕したミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック。4つの会場に分かれて行われた広域開催だったことが特徴で、持続可能性という観点から、今後に向けて非常に良いモデルとなったと感じます。
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ミラノ・コルティナ冬季五輪のスピードスケート女子500メートルで銅メダルを獲得し、日の丸を掲げる高木美帆=2月、イタリア・ミラノ(共同)

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ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックが先月、熱戦のうちに幕を下ろしました。会場を訪れた方もいれば、テレビやインターネットで観戦された方も多いと思います。

今大会もさまざまな記憶と記録を残しましたが、大きな特徴が、4つの会場に分かれて行われた広域開催だったということです。開会式もそれぞれの会場で入場行進が行われ、各地でオリンピックムードを盛りあげました。芸術大国イタリアらしいオペラや歴史、文化を交えた華やかな演出も話題となり、日本選手団が自国旗とイタリア国旗を両手に持ち、各会場で入場行進をしたことは世界から称賛を浴びました。

広域開催は一都市への集中を抑えて環境負荷を抑えるだけでなく、より多くの方にオリンピックを身近で感じてもらう機会にもなります。今大会は、オリンピック・ムーブメントの推進と大会の持続可能性という観点から、今後に向けて非常に良いモデルとなったと感じます。将来的には、複数の国による共同開催も実現するのではないかと思いました。

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ミラノ・コルティナ五輪スノーボード・スロープスタイルで男子銀メダルの長谷川帝勝、女子金メダルの深田茉莉、銅メダルの村瀬心椛(左から)=リビーニョ・スノーパーク(佐藤徳昭撮影)

オリンピック再編へ 柔道など一部の夏季競技の冬季大会への移行案も

ミラノ・コルティナ大会は私にとってJOC(日本オリンピック委員会)強化本部長として初めて迎えたオリンピックとなりました。日本選手団は過去最多となる24個のメダルを獲得(金5、銀7、銅12)し、日頃の練習の成果を見事に発揮してくれました。

各会場を訪れましたが、冬季オリンピックじたい初めてで見るものすべてが新鮮でした。全体を通じて感じたのは、競技がダイナミックかつスピーディーであることです。雪と氷、そしてスキー板やスノーボード、スケート靴などの用具が、選手の能力を最大限に引き出し、アグレッシブなパフォーマンスを実現させていて、夏季大会とは異なる魅力がありました。

また、それだけに用具の役割も非常に大きく、用具そのものの選択からメンテナンス、サポート体制なども競技の一部であるとも感じました。

一方、採点競技も多く、ジャッジの公平性の追求も重要な要素なのではないかと思いました。技術が高度化・複雑化して競技レベルが上がるほどジャッジも難しくなります。人生をかけて大会に臨む選手のためにも、オリンピックが時代の変化にあわせて魅力を保ち続けるためにも、今後、試合運営においてAIなどのデジタル技術の活用がより必要になってくるのではないかと感じました。

大阪・関西万博で2025年9月13日に行われたフランス・ナショナルデーイベントで。テディー・リネール選手(中央)や五輪メダリストの皆さんとともに子どもたちとの柔道交流に参加しました(©NPO JUDOs by Kosei Inoue)

大会期間中に行われたIOC総会では大会再編について議論がなされ、夏季競技の一部の冬季大会への移行が検討されていることが明らかにされました。早ければ次回2030年フランス・アルプス冬季オリンピックでの実施を見据えているということです。移行候補には柔道も入っているということですから、高い関心をもって議論の行方を注視していきたいと思っています。

季節は巡り、日本各地から桜の開花の知らせが届きはじめました。4月は日本柔道にとってはトップカテゴリーの大会が続く大会月間です。それぞれどんな試合が観られるのか。とても楽しみです。

筆者:井上康生

judo Kosei Inoue
Author: Kosei Inoue, President, Certified NPO JUDOs
judo Kosei Inoue
井上康生 理事長, 認定NPO法人 JUDOs

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