親任式と認証式を終え、記念撮影に臨む高市早苗首相(前列中央)と閣僚ら=2月18日夜、皇居・宮殿「北車寄」(鴨川一也撮影)
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2月8日に投開票が行われた衆院選で自民党が圧勝した。単独で定数(465)の3分の2以上を確保し、日本維新の会と合わせた与党は歴史的な勝利を収めた。主要各紙は翌9日付で一斉に論評し、産経は高市早苗首相と与党に「危機克服へ全力で働いてほしい」と期待した。これに対し朝日、毎日、日経、東京は、今回の勝利は「有権者の白紙委任」ではないとし、野党との丁寧な合意形成を求めた。
高市首相は選挙戦で、国論を二分する政策への民意を問う考えを示していた。
産経は「有権者は、厳しい国際情勢など危機の時代にある日本の政治の舵(かじ)取り役として、与党が支える高市早苗首相を信任した」と総括。そのうえで、まず取り組むべきテーマとして「日本の独立と繁栄の基盤である安全保障の追求」を挙げ、「高市政権は戦後政治の大転換を図り、日本と国民を守り抜く現実的な政策を推進すべきだ」と訴えた。
さらに「自分の国は自分で守るのが基本だ」とし、スパイ防止法の制定などインテリジェンス機能の強化や、憲法改正に向け改憲原案の条文化の実現にも言及した。
読売も「首相は新たに確保した安定勢力を生かし、政策課題を着実に実行しなければならない」と指摘した。一方で、「肝心な政策の内容を具体的に語ってきたとは言い難い。今後は、政策の詳細な内容を示し、国民に理解を求めていくことが欠かせない」と注文を付けた。
日経は「首相が衆院選圧勝で得た政治資産を何に使うかが問われる」との認識を示した。そのうえで、「社会保障改革やエネルギー政策、国際秩序を揺さぶる米国への対応、日中関係など懸案は山積している」とし、「優先順位を付けたうえで中長期の視点で国の針路を示す必要がある」と説いた。

これに対し、朝日は高市政権が「『直近の民意』を受けた衆院の圧倒的多数を盾に、一部野党の協力を求めながら、政策の実現に向けアクセルを踏むことは間違いない」と見通した。そうした中でも「国論が二分しないよう、丁寧な合意形成に努めるのが一国の指導者の責務である。『数の力』で強引に進めれば、社会の分断を助長するだけだ」と主張した。
毎日も「首相の政治基盤は飛躍的に強化される」としながらも「独断専行に陥るようであれば、イメージ先行で膨らんだ国民の期待は失望へ変わる」とくぎを刺した。
各紙は立憲民主党と公明党の衆院側が結成した中道改革連合の惨敗にも触れた。
産経は「米軍普天間飛行場の辺野古移設への態度を決められないなど基本政策が心許(もと)なかった」と指摘し、「有権者から『選挙互助会』だと見透かされたのは当然だろう」と切り捨てた。さらに共産党やれいわ新選組も議席を減らしたことを踏まえ、「左派・リベラル勢力が野党をリードする時代は終わったとみるべきだ」と断じた。

朝日は「与党の勢力が大きくなるなら、それをチェックする野党の役割は重大だ。党の態勢を立て直し、結束を維持できるか。中道の旗の下に結集した真価が問われるのはここからだ」と指摘。東京も「自民党に対抗する勢力が再び分散してはならない。その責任が極めて重いことを自覚すべきだ」と訴えた。
衆院選を受けた特別国会は18日に召集される。〝1強多弱〟といわれる中でも、与党は国会運営では丁寧な合意形成を進める必要があろう。
とはいえ、参院で否決された法案の再可決が可能な3分の2超の議席数を確保したことで、高市首相が国論を二分する政策の実現に乗り出す態勢が整ったことは間違いない。首相は選挙公約で約束した政策を前に進める責務があることを忘れてはならない。
筆者:高橋俊一(産経新聞)
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2026年2月18日付産経新聞【社説検証】を転載しています
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