
自民党総裁選の所見発表演説会で訴える高市早苗前経済安保相=9月22日、東京・永田町の党本部
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「自民党支持者の50%が参院選で他党に投票」「支持離れの原因は国民を大切にしていないこと」-。こんな分析結果を京都大学大学院の研究室が公表した。10月4日に控える自民党総裁選を経た今後の党勢について、この研究室は「高市早苗総裁なら回復、小泉進次郎総裁や林芳正総裁なら衰退加速」と見通す。
調査は藤井聡教授の研究室が9月24~26日、2019年の参院選以降、国政選挙で「一度でも自民党に投票したことがある」とする自民支持経験者2000人を対象にインターネット上で実施した。
調査によると、今年7月の参院選の全国比例の投票先では、新旧の自民支持者の50・2%が自民に投票したが、残る49・8%が国民民主党や参政党などに投票した。自民以下の投票先の内訳は、多い順に国民民主党11・2%▷参政党9・6%▷立憲民主党6・2%▷その他の政党5・3%▷日本保守党5・1%▷日本維新の会4・3%-などだった。
自民「国民大切にせず」意見多く
過去6年間に自民に投票したことがあり、この参院選では自民に投票しなかった915人に、なぜ自民への投票をやめたのか、複数回答可で理由をたずねたところ、「自民党が国民を大切にしないから」が50・0%と最多だった。
以下、「総裁が石破茂氏になったから」34・6%、「党が増税を繰り返すから」33・9%、「『中国ベッタリ』の政党になったから」30・3%などが続いた。このほか10位以内には、「総裁が岸田文雄氏になったから」20・1%なども上がった。
また、調査では、過去6年間に自民に投票し、この参院選で国民・参政・保守のいずれかの政党に投票した518人に、次回の国政選挙で、現在行われている自民総裁選の5人の各候補のうち、だれが総裁なら自民に投票するかを質問した。
- 高市氏の場合「絶対投票する」28・4%、「多分投票する」40・4%、「多分投票しない」24・1%、「絶対投票しない」7・1%。
- 小泉氏の場合「絶対投票する」4・1%、「多分投票する」23・3%、「多分投票しない」28・0%、「絶対投票しない」44・5%。
- 林氏の場合「絶対投票する」3・2%、「多分投票する」17・0%、「多分投票しない」34・7%、「絶対投票しない」45・1%。
- 小林鷹之氏の場合「絶対投票する」3・9%、「多分投票する」29・4%、「多分投票しない」40・1%、「絶対投票しない」26・6%。
- 茂木敏充氏の場合「絶対投票する」2・6%、「多分投票する」17・1%、「多分投票しない」42・5%、「絶対投票しない」37・8%。
ここから割り出した各候補の「推計投票率」はそれぞれ、高市氏63%、小泉氏26%、林氏20%、小林氏31%、茂木氏21%だった。
好かれるのは「積極財政」「保守」
これらの分析から、同研究室では「『高市総裁』なら現・自民支持者の支持が継続され、なおかつ自民を離れた旧支持者が再度自民を支持し、党勢が回復する可能性が極めて高い。一方、『小泉総裁』や『林総裁』なら、失われた自民支持が元に戻らず、なおかつ自民離れが促され、自民党の衰退がさらに加速することは必至と考えられる」と結論付けている。
藤井教授は、産経新聞の取材に対し、調査手法について「大学の研究レベルの精度で厳密に実施した。信憑性は高い」と自信を示した。その上で、「支持者らに好かれるのは、高市氏の掲げる積極財政と保守的な政策。一方で不人気なのは、小泉氏が掲げる緊縮財政と非保守的な政策。この傾向は非常に強く、総裁決定後の党勢がどうなるか、予測が覆る可能性は低い」と見通しを述べた。
(産経新聞)
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