ミラノ・コルティナ五輪のスノーボード男子ビッグエアで金メダルを獲得した木村葵来(左)と銀メダルの木俣椋真=2月7日、イタリア・リビーニョ(共同)
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ミラノ・コルティナ冬季五輪で日本選手団がメダルを量産している。スノーボード男子ビッグエアでは木村葵来が金、木俣椋真が銀メダルを獲得した。予選1位のエース、荻原大翔が着地の失敗で決勝最下位に沈んだ中での快挙である。
日本のチーム力は世界でも頭抜けている。丸刈り頭で表彰台に立ち「台の真ん中は高いな」と語った木村が清々(すがすが)しい。丸刈りはドジャースのムーキー・ベッツに憧れたから。生活は大谷翔平を見習って最低8時間は睡眠をとる。五輪を通じて知るそんな逸話がなんとも楽しい。

五輪の観戦による感動は、メダルの色にとどまらず、その光景に喚起される。
スキージャンプの女子個人ノーマルヒルでは、左十字靱帯(じんたい)断裂の故障から復帰した丸山希が五輪初出場で銅メダルを獲得した。

丸山が2本目のジャンプに成功した瞬間、本人以上に歓喜したのは高梨沙羅や伊藤有希だった。跳びはね、叫び、丸山に抱き着くベテランの姿に胸が熱くなった。こうした光景を見るために、多くのファンは未明の中継にかじりつく。

フィギュアスケート団体では日本が2大会連続の銀メダルに輝いた。今季限りの引退を宣言している坂本花織はショートプログラム、フリーともトップの得点で滑り、団体の銀に貢献したが、それ以上に仲間の演技を見守る姿が印象的だった。
予選のアイスダンスでは吉田唄菜、森田真沙也組の演技と会場の声援に早くも涙が止まらなくなった。最終の男子フリーでは佐藤駿の滑走中、滂沱(ぼうだ)の涙を拭うこともなく流し続けた。
坂本は団体戦への思いを「リンクサイドでみんなが見守ってくれているのが好きなんです」と話した。

スノーボードもジャンプもフィギュアスケートも、本来は個人競技である。だがチームスポーツとして戦うときに、日本選手は最大限の力を発揮する。そうした光景を見る度に五輪の、スポーツの良さを実感する。
日本選手に限らず、冬季五輪の映像は美しい。それは大会が「雪と氷の祭典」であるからだろう。国際オリンピック委員会(IOC)のコベントリー会長は夏季競技の一部を冬季に移行する可能性を示唆している。
安易に伝統を損なう構想は、支持できない。
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2026年2月10日付産経新聞【主張】を転載しています
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