青森県で震度6強を観測した地震で倒れた本棚や書類=121月9日午前0時ごろ、北海道函館市の共同通信社函館支局
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12月8日午後11時15分ごろ、青森県三八上北で震度6強の地震があった。気象庁によると、震源は青森県東方沖で震源の深さは約50キロ。地震の規模はマグニチュード(M)7・6と推定される。気象庁は北海道太平洋沿岸中部、青森県太平洋沿岸、岩手県に津波警報を出した。到達予想はいずれも3メートルで、9日午前0時までに北海道や青森県で40センチの津波を観測した。

原子力規制庁などによると、北海道の泊原発、青森県の東北電力東通原発、宮城県の東北電力女川原発、福島県の東京電力福島第1原発に異常は確認されていない。
JR東日本によると、東北新幹線は福島―新青森間の上下線で運転を見合わせた。
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政府は9日未明、青森県東方沖で発生した地震を受け、巨大地震が発生する可能性が平時と比べて相対的に高まったとして「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を初めて発表した。注意情報は、北日本の沖合に延びる日本海溝および千島海溝付近で発生が懸念されるM8級以上の巨大地震を想定。昨年8月に発表された南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」に相当し、2022年12月に運用が始まった。

気象庁は、7日以内にマグニチュード(M)8級以上の大規模地震が発生する確率が、通常は千回に1回程度(0・01%)だが、100回に1回程度(1%)に上がった状態だとしている。今後1週間は、日ごろからの備えの再確認や、迅速な避難に向けた準備などが求められる。
注意情報に関わる巨大地震の想定震源域に含まれる両海溝は、日本列島が乗る陸側プレート(岩盤)の下に太平洋プレートが沈み込んでいる。沈み込みで生じたひずみを解放するためにプレート境界がずれ動いたり、プレート内にある断層がずれ動くなどして、M8級以上の巨大地震が幾度も起きてきた。
両海溝周辺でM7・0以上の地震が発生後、M8級以上の後発地震が起きた頻度は、1904年から2017年までの113年間で、25回のうち1回程度とされている。その一つが11年に起きた東日本大震災で、発生2日前に付近でM7・3の地震が起きていた。
三陸沖付近の日本海溝は、大震災で断層がずれ動かずに残った部分だ。政府は、この辺りで最大クラスの巨大地震が発生した場合、大震災を上回るM9・1に達すると想定している。
一方、千島海溝沿いでは十勝沖地震(1952年、2003年)をはじめ、M8級の巨大地震が繰り返されてきた。さらに近年、北海道の太平洋側の沿岸部で見つかった津波堆積物などから、平均すると約340~380年間隔でM8・8程度以上の巨大地震が発生していたことが分かった。前回起きたのは17世紀で、既に約400年が経過しているため、事態は切迫しているとされる。
気象庁は過去の事例を基に、注意情報を発表するペースは「おおむね2年に1回程度」としていた。なお、注意情報は、巨大地震の発生を予知するものではない。
(産経新聞)
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