ミラノ・コルティナ冬季五輪で失格処分を受け、ヘルメットを手に記者会見するスケルトン男子ウクライナ代表のウラジスラフ・ヘラスケビッチ=2月12日、イタリア・ミラノ(共同)
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開催中のミラノ・コルティナ冬季五輪は、4年に及ぶロシアのウクライナ侵略に改めて関心を向ける機会になっている。
スケルトン男子ウクライナ選手が2月12日、露軍の攻撃で命を落とした選手の写真をあしらったヘルメットを着用して出場を試み、失格処分となった。選手の表現に関するガイドラインに抵触するという。
出場選手たちの間で、ウクライナ選手に対する連帯の輪が広がっている。自身の失格を覚悟してまで世界に示した行動は、称賛されていい。ヘルメットの数々の写真は、ロシアの残虐性を浮き彫りにした。
ロシアは今大会で、国としての参加を認められず、選手は「中立」の立場で競技に臨んでいる。ただ英BBC放送は、4人がウクライナ侵略を支持する活動と関係があったとの疑惑を報じている。「中立」をどう担保するかには疑問が残る。国際オリンピック委員会(IOC)はそもそも、ロシア勢の個人参加を許すべきではなかった。
東京五輪に出場した経験を持つウクライナの女性選手は、露兵が戦場で性的暴行や拷問に手を染める中、「(露選手と)一緒に競技するなど考えられない」と訴えていた。侵略戦争下で当然の反応だろう。

IOCは今回、2022年北京五輪でドーピングが発覚した露女子フィギュアスケート選手のロシア人女性コーチに、ジョージア(グルジア)選手の指導者の資格を認めた。ウクライナに厳しい一方、ロシアに甘い。世界反ドーピング機関(WADA)の委員長も、この指導者の大会参加に不快感を示した。
ロシアを巡っては、日本オリンピック委員会の幹部からも、擁護するかのような発言が聞かれる。スポーツ界の常識は、一般の常識とずれていないか。
IOCは昨年末、露選手がユース世代の国際大会に自国の国旗・国歌の下で参加できるようにすべきだとの考えを示した。今秋のユース五輪ダカール大会から、その原則が導入される。露選手の完全復帰に向けた布石、との見方がもっぱらだ。
ロシアは国連の五輪休戦決議に平然と背を向けている。ミサイルや砲弾が飛び交うウクライナでは、子供や妊婦までもが絶命する状況にある。ロシアに配慮するIOCの姿勢は、極めて異様に映る。
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2026年2月14日付産経新聞【主張】を転載しています
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