バングラデシュ総選挙で第一党になったバングラデシュ民族主義党のラーマン党首が首相に就任し、新政権が発足した。高市早苗政権にはバングラの民主主義の安定と「法の支配」定着を積極的に支援してもらいたい。
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総選挙の投票を終え、手を上げるバングラデシュ民族主義党のタリク・ラーマン党首(中央)=2月12日、ダッカ(AP=共同)

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2月に行われたバングラデシュ総選挙で第一党になったバングラデシュ民族主義党(BNP)のラーマン党首が首相に就任し、新政権が発足した。

強権的だったハシナ前政権が学生らによる反政府デモで2024年に崩壊し、ノーベル平和賞受賞者で経済学者のユヌス氏率いる暫定政権が、選挙の準備を進めてきた。

ムハマド・ユヌス氏(ロイター=共同)

BNPと長年の対立関係にあり、ハシナ前政権の与党だったアワミ連盟(AL)は、前政権時のデモ対応で多数の犠牲者を出したとして、選挙への参加を認められなかった。ALの支持者らからは、不参加を疑問視する声も出ていた。ラーマン氏はこうした国内の分断を修復し、融和に努める必要がある。

1971年にパキスタンから分離独立したバングラは、軍事政権を経て91年に民主化された。以後、ALとBNPが政権交代を繰り返し、時々の野党を弾圧してきた。ハシナ氏が2度目の首相に就任した2009年以降は、政敵の排除や言論統制が強まり、民主主義が後退したと懸念されていた。

ハシナ元首相=2024年1月(ロイター=共同)

政治報復は終わりにしなければならない。暫定政権は、首相の任期制限や二院制への移行など、権力の分散を目指した改革案をまとめた。改革案は、総選挙と同時に実施された国民投票で承認された。ラーマン政権はこれを着実に実行し、民主主義を再建してもらいたい。

ハシナ氏がインドへ逃亡したことで、身柄引き渡しを求めるバングラとインドの亀裂が深まる中、中国が影響力の拡大を狙ってバングラに接近している。バングラは1月、中国の国有企業とドローン工場の建設協定を結んだ。警戒を強める米国は、中国製システムの代替案をバングラ側に示しているという。

東南アジアと南アジアを結ぶ要衝にあるバングラは、日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」構想の重要パートナーだ。2月にはバングラにとって初の経済連携協定(EPA)を結んでいる。安価な労働力を生かした縫製業などで急成長したバングラは今秋、国連の「後発開発途上国」を卒業する。

発展を継続するための基盤になるのは自由な市場と民主主義である。高市早苗政権にはバングラの民主主義の安定と「法の支配」定着を積極的に支援してもらいたい。

2026年3月2日付産経新聞【主張】を転載しています

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