小中高校の学習指導要領を改定するための議論が、中央教育審議会で進められている。現行のものは、自衛隊の記述が救助活動の関係機関として例示されているにすぎない。国を守る視点からの教育目標を明記してもらいたい。
MEXT Ministry of Education Culture Sports Science and Technology

文部科学省外観=東京・霞が関(宮崎瑞穂撮影)

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小中高校の学習指導要領を来年以降に改定するための議論が、中央教育審議会で進められている。

主に子供の多様な個性に対応する改定案が検討されているが、大事な視点が置き去りになっている。それは「国の平和と安全を守る」ことへの理解を深めるカリキュラムについてだ。

現行の学習指導要領は教育目標に「国を愛する」心の育成を掲げるものの、「守る」ことの大切さには触れていない。小中では自衛隊の記述も1カ所のみで、それも小4社会の自然災害を学ぶ項目に出てくるだけだ。しかも本来任務の防衛ではなく、救助活動の関係機関として例示されているにすぎない。

空挺隊員を前に訓示する小泉進次郎防衛相=1月11日午前、千葉県の習志野演習場(酒巻俊介撮影)

学習指導要領を踏まえて作成される教科書にも、自衛隊の任務や活動が広がることを否定的にとらえる記述がある。

例えば中学公民では大半の教科書が憲法問題に触れ、「(自衛隊の)規模の縮小を唱える声や、自衛隊は憲法に違反するという主張もあります」と記す教科書もある。自衛隊の海外派遣について「自衛の目的をこえるもので、外国軍部隊の武力衝突に巻きこまれることをあやぶむ意見もあります」との記述の教科書も使われている。

だが自衛隊が合憲なのは常識だ。自衛隊は国会が定めた自衛隊法に基づき存在している。今の指導要領や教科書では正しい理解が広がらず、子供たちに必要な安全保障問題への思考力を養うことはできまい。

中国軍無人機「TB001」(防衛省提供)

中教審は今夏にも改定の具体的内容をまとめ、令和8年度内に答申する予定というが、国を守る視点からの教育目標を明記してもらいたい。

自衛隊については、教科書編集の参考となる指導要領の「解説」に「自衛隊が我が国の平和と安全を守っていることに触れるようにする」(小6社会)、「自衛隊が我が国の防衛や国際社会の平和と安全の維持のために果たしている役割(に触れる)」(中学公民)などと記されている。この視点こそ指導要領本文に明記すべきだろう。

ロシアによるウクライナ侵略や台湾有事の恐れなど、前回の改定時に比べ安保環境は厳しさを増している。指導要領を改定するのは、時代に即した教育を行うためであると、高市早苗首相や文部科学省、中教審は肝に銘じてほしい。

2026年1月26日付産経新聞【主張】を転載しています

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