ニデック創業者の永守重信氏=2024年6月
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不適切な会計処理の疑いが複数見つかっているモーター大手ニデック(旧日本電産)が第三者委員会の調査報告書を公表した。
第三者委は会計不正の原因として「過度な業績プレッシャーの存在」を挙げた。その起点は創業者である永守重信氏であるとし、「非現実的な目標設定がなされ、その達成に向けて極めて強いプレッシャーが加えられることにより生まれている」と指摘した。
永守氏が会計不正を指示・主導した事実は発見されなかったとしながらも「最も責めを負うべきなのは、永守氏であると言わざるを得ない」と断じた。
すでに永守氏は昨年12月に代表取締役グローバルグループ代表を辞任したほか、2月末には名誉会長からも退いている。
だが、社会的信用を取り戻すには、永守氏に依存した経営体制から完全に決別したことを示す必要がある。ニデックは社外取締役などによって経営トップを監督、牽制(けんせい)する強固な仕組みの導入が求められる。
会計不正は金融商品取引法に抵触する可能性もある。会計不正の再発防止策を講じることも急がねばならない。

昭和48年に日本電産を設立した永守氏は積極的なM&A(企業の合併・買収)で規模を拡大し、連結売上高で2兆円を超える世界的企業に一代で育て上げた。その実績から「カリスマ経営者」とも評された。
ただ、報告書には永守氏のパワーハラスメント的な言葉が並ぶ。経営幹部には「どいつもこいつもやる気なしの無責任野郎ばかり揃(そろ)いやがって」「私の元から損害だけ残して敵前逃亡していくのか」などと苛烈なメールやメモを送っていた。
永守氏による過剰なまでの目標達成圧力にさらされ、評価損を計上しなかったり、費用計上を先延ばししたりする不正が当たり前に繰り返されていくようになる。報告書からは、そんな社内の姿がみてとれる。
経営トップが関与した不正会計は、過去にはオリンパスや東芝などでも起きている。絶対的な力を持った経営トップが不正に関与していた場合、それを止めることが難しいことを示している。
経営トップを監督する仕組みはできているのか。ニデックを他山の石とし、多くの企業が再考すべき問題である。
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2026年3月12日付産経新聞【主張】を転載しています
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Author: Editorial Board, The Sankei Shimbun
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