打撃練習する広島の勝田成=2月1日、日南
This post is also available in: English
プロ野球が春季キャンプを迎えた。2月中旬には、井端弘和監督率いるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表が、大会連覇に向け合宿に入る。球春の訪れに、ファンの期待は膨らむ一方だろう。
ただし、今季のプロ野球は景色が一変する可能性もある。日本球界を代表する2人の長距離打者が米大リーグに渡るからだ。
ブルージェイズに入団した岡本和真は巨人での11年間で計248本塁打、ヤクルトからホワイトソックスに移籍した村上宗隆は8年間で通算246本塁打を放っている。スター選手の穴を埋めるのは容易ではない。
米球界で本塁打を量産する大谷翔平や鈴木誠也に触発され、強打者が海を渡る流れは今後も続くだろう。
次代を担うスラッガーの育成・発掘に、プロだけでなく球界全体が危機感とスピード感を持って取り組まねばならない。そのためには、各年代の日本代表からトップチームに至るまで、強化方針に一貫性を持たせる必要があるのではないか。

教訓となる事例がある。
2023年春のWBCで、日本は大谷らのパワーを前面に押し出した野球で優勝した。それにもかかわらず、その年の夏に行われたU18(18歳以下)ワールドカップでは、高校通算140本塁打の佐々木麟太郎(現米スタンフォード大)ら強打者を代表に加えなかった。
守備と機動力を重視した当時の代表監督の方針という。チームは優勝したものの、本塁打は9試合で1本にとどまった。プロに近い年代で強化方針がぶれてしまっては、世界で勝負できる選手が育たない。
日本の打者が非力とみられたのは過去の話だ。大谷や鈴木ら今回のWBC日本代表の顔ぶれは、メジャー選手で固めた米国などに引けを取らない。力で世界に対抗する流れを止めないためにも、プロ野球がひところ礼賛された「スモールベースボール」一辺倒に陥るようなことは避けなければならない。

ひと振りで試合の流れを変える豪快な本塁打は野球の華だ。一発のある強打者の存在は相手チームに威圧感を与えるだけでなく、応援する側にも大きな楽しみを抱かせてくれる。新たな主軸候補が春季キャンプで台頭することを期待したい。
◇
2026年2月1日付産経新聞【主張】を転載しています
This post is also available in: English

