ドラッグストアで発売が開始された緊急避妊薬「ノルレボ」=2月2日、東京都新宿区
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望まぬ妊娠を防ぐため性交渉後に服用する緊急避妊薬が、医師の処方箋がなくても薬局やドラッグストアで買えるようになった。
性交渉後72時間以内に服用する。海外では多くの国で市販されているが、日本では処方箋が必要だった。
だが、避妊がうまくいかなかったり、男性が避妊に協力しなかったりする例がある。性暴力の被害女性もいる。緊急性の観点から、医師の診察を受けられない土日や夜間でも入手できるよう求める声が強かった。
緊急時に入手しやすくなるのは朗報である。ただし、日常的な避妊の手段ではなく、繰り返し購入するものではないことをしっかりと認識すべきだ。
予期せぬ妊娠を防ぐため、性交後に服用する「緊急避妊薬(アフターピル)」の処方箋なしでの試験販売を巡り、「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」が10日、今後の課題を考える勉強会を国会内で開いた。染矢明日香共同代表は「緊急避妊薬へのアクセスを良くし、安心安全に暮らせる環境整備を」と訴えた。

厚生労働省には緊急避妊薬が市販されるようになった背景を周知し、安易に利用が広がらぬよう万全の対応を求めたい。
購入できるのは、服用する女性本人である。男性や代理人は購入できない。販売は1錠単位で、薬剤師の対面販売が義務付けられている。女性がその場で服用し薬剤師が確認する。
薬局や薬剤師がなすべき役割は大きい。繰り返し購入しようとする女性には、緊急避妊薬ではなく産婦人科での受診を勧める必要がある。緊急避妊薬の効果は性交渉から72時間以内に服用しても8割台だ。もっと確実で安全な避妊具や経口薬を、医師と相談して使ってほしい。

特に注意したいのが性暴力や虐待などの被害者だ。表沙汰にならないよう隠したい女性もいるだろう。女性の心情に目を配りつつ、声をかけ相談に乗ってほしい。性犯罪被害の支援センターや児童相談所につないだり、警察に相談したりするきめ細かな対応が欠かせない。
販売する薬剤師は研修を受けなければならない。近隣の産婦人科医との連携体制を整えるほか、支援センターなどの情報も把握しておく必要がある。
緊急避妊薬を扱う薬局やドラッグストアは約7千店で、厚労省が公表している。地域で偏在があるのが課題だ。扱っていない薬局においても、どこに行けば買えるかを購入希望の女性に紹介できるよう、薬局間で情報を共有しておくべきである。
プライバシーに配慮するのは当然だ。女性の性と健康を守るため薬局が地域で最初の相談場所となれるよう、最善を尽くしてもらいたい。
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2026年2月8日付産経新聞【主張】を転載しています
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