大阪・ミナミの繁華街。中国人観光客ら大勢のインバウンドが行きかう=大阪市中央区
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インバウンド(訪日客)や在日の中国人を相手に、日本人女性に売春させたとして、大阪の性風俗店が摘発された。十数人の日本人女性が働いていたとみられる。同様の風俗店は東京でも摘発され、繁華街の歌舞伎町では買春のために訪れる外国人が増加、海外メディアでも取り上げられる事態となっている。外国人相手の売春が横行する背景として、国内の法規制の〝穴〟も指摘されている。
民泊施設でも…
「関西最大級の中国人向けデリバリーヘルス」。大阪市内の性風俗店は求人サイトにこんな文言を記載していた。大阪府警は9~10月、売春防止法違反容疑などで中国籍の店長の男(33)を逮捕、大阪地検は同罪などで起訴した。
捜査関係者によると、店では十数人の日本人女性を雇用。ホームページでは女性を「A」から「SSS」の4つのランクに分け、最も高い料金で2時間4万円と宣伝していた。
女性はミナミのビルの一室を待機場所とし、ホテルや相手の自宅に派遣され、民泊施設に出向くこともあった。中国人の間の口コミで、店の存在が広まっていたという。
府警は、この店で働く女性を紹介したとして職業安定法違反容疑で無職男(40)も逮捕。男はSNSで女性を募集し、店から紹介料(スカウトバック)を受け取っていたとみられる。
「国の品格問われる問題」
インバウンドを相手にする売春行為は、東京・歌舞伎町でも発覚している。警視庁は2月、訪日客らに売春場所を提供したとして、売春防止法違反の疑いでメンズエステ店の経営者らを逮捕。店の周辺で外国語で客引きを行っており、関係先からは中国やインド、アルゼンチンなど16カ国の外国紙幣が押収された。
また、歌舞伎町の大久保公園付近では街頭に立って売春の客待ちをする「立ちんぼ」がかねて問題となっているが、主に外国人を相手にする女性もいるという。

こうした東京の現状について、香港紙は「アジアの新しい性行為の観光都市?」との見出しで報じており、国会でも「日本の女性が世界へ行ったときに性被害に遭いやすくなる。日本の国の品格が問われる問題」と問題視された。
外国人向けの売春が行われる背景には、円安による割安感に加え、客が外国人のほうが日本の警察当局から摘発されにくいという側面、さらに日本と諸外国との法規制の違いが影響している可能性があるという。
日本の売春防止法では、売春する側による勧誘やつきまとい、周旋などは処罰されるが、買春する客側への処罰規定はない。買春相手が未成年の場合は児童買春・ポルノ禁止法違反罪などに問われうるが、成人であれば規制対象とならない。
性的ビジネスの供給国になる懸念
中国法に詳しい明治大の鈴木賢教授によると、中国では性的サービスを提供する店の営業は表向き認められておらず、合法的な「性風俗店」というカテゴリーすら存在しない。発覚すれば運営側だけでなく、客も恣意的な摘発の対象となりうる。鈴木教授は「円が安くなっていることもあり、外国に出た開放感から遊んでみたいという人は多いだろう。中国人向けに限らず、日本は性的ビジネスの供給国となっていく可能性がある」と懸念を示す。
客側を規制しているのは中国だけでなく、フランスでも2016年、客を処罰する買春禁止法案が可決されている。
この問題は11月の衆院予算委員会でも議題となり、高市早苗首相は11日、買春行為の法規制に関し「規制の在り方について、必要な検討を行うことを法相に指示する」と言及。平口洋法相は14日の記者会見で「近時の社会情勢を踏まえ必要な検討を行っていきたい」と述べた。
筆者:安田麻姫(産経新聞)
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