観光客で混雑する京都・清水寺周辺
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令和7年に日本を訪れた外国人客が、年間で初めて4千万人を超えた。訪日客の消費額も約9兆5千億円と過去最高を更新した。
訪日客の消費は統計上、輸出にカウントされる。目立った成長産業が見当たらない中で、自動車に次ぐ第2の「輸出産業」として順調に拡大を続けている。
ただ、訪日客の増加に伴い、観光客の集中による過度な混雑やマナー違反といったオーバーツーリズム(観光公害)の問題が深刻になっており、住民の生活にも支障が出ている。
政府は12年に訪日客6千万人、消費額15兆円という目標を掲げているが、やみくもに達成を目指すべきではない。住民生活を犠牲にした「観光立国」はあり得ない。

オーバーツーリズムは訪日客の満足度も低下させる。政府は対策に取り組む地域を現状の47から、12年までに100カ所に倍増する方針だ。実効性のある対策を進め、受け入れ体制を整える必要がある。
そのために、中国政府が自国民に渡航自粛を呼びかけている現状をオーバーツーリズム対策を進める機会ととらえたい。
中国からの訪日客は1~11月までの累計ではトップだったが12月に急減し、年間では韓国に次いで2位にとどまった。現状の中国の対日姿勢を見れば、今年も回復は難しいだろう。観光産業には痛手であろうが、中国のような国に過度に依存することは危ういと認識すべきだ。

オーバーツーリズム対策として期待される地方への誘客を進めるには、受け入れ体制整備が必要となる。宿泊施設の拡充のほか、人手不足を補うIT技術やロボットの活用も重要だ。政府は今年7月から、国際観光旅客税(出国税)を現在の1人1千円から3千円に引き上げ、対策に充てる方針を示している。有効に活用したい。
政府観光局を中心に、日本の魅力を効果的に発信するプロモーション活動にも一段と知恵を絞ってほしい。
訪日客の上位を占める韓国や台湾のほか、東南アジア諸国や欧米諸国から訪れる人も高い伸びを示している。複数回日本を訪れるリピーターも増えている。多様な国・地域の日本ファンを着実に広げていくことこそ、観光産業の持続的な成長につながるはずだ。
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2026年2月3日付産経新聞【主張】を転載しています
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