校舎の昇降口でパンをくわえて登校する外国人観光客。アニメで憧れていたシーンを再現した=千葉県君津市(鴨川一也撮影)
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千葉県の廃校で実施されている、日本の「古き良き」学生生活を体験できるプログラムが外国人観光客から注目を集めている。参加者は生徒になりきり、実際に使われていた教室で1日を過ごす。漫画やアニメで見て憧れていた世界観を体験できるとあって、好評を得ている。
プログラムを体験できるのは千葉県君津市にある「君ノ高校」。廃校となったかつての市立中の校舎をほとんど手を加えずに利用している。

イメージしたのは「昭和の高校」。参加者は学校に到着すると好きな制服を選択し、「入学式」と書かれた看板の前で記念撮影を行い教室に向かう。


(右)書道の授業で自身の好きな日本語を書く参加者
最初に、起立・気を付け・礼など日本式のあいさつを学ぶ。教師役を演じるのは英語が堪能な役者。ひとつひとつの行為の理由を話し、日本の学校でのルールやマナーの背景をしっかりと説明している。

授業もバラエティー豊かだ。国語の時間には筆で好きな文字を書き、漢字を学ぶ。体育は体育館で玉入れや綱引き、障害物競走など日本の運動会の定番種目を実施。

給食の時間には割烹(かっぽう)着に着替え、自分たちで配膳を行う。机をくっつけて教室で食べる。


プログラムを運営しているのは、企業の社内運動会のプロデュースなどを手がける「運動会屋」(東京都渋谷区)。事業は令和5年11月にスタート。新型コロナウイルス感染症が5類になってインバウンドが戻りつつあった時期に、外国人向けのサービスを考えていた。同社は海外8カ国でも「日本の運動会」を企画・運営してきた実績があり、実際の校舎を生かして外国人に日本の学校文化を楽しんでもらおうとプログラムを考えた。

料金は1人1日3万8500円。各種体験費用、給食や貸衣装代、都内からの送迎も含まれる。「割高に感じられるかもしれませんが、スタジオでなくリアルな校舎で実際の学生生活を楽しめるとあって海外の方から人気です」(運営スタッフ)だという。
体験した海外のインフルエンサーなどのSNS投稿をきっかけに広まり、これまで500人以上が利用。現在は月に平均30人ほどが訪問するという。

シンガポールから旅行できたヨン・ゼン・ホンさん(27)とジョディー・モーさん(27)夫妻は、アニメで見たという寝坊しパンを口にくわえて登校するシーンを再現し、「夢が叶った」と喜んでいた。
参加者は一日の授業を終えると、卒業証書を受け取って「卒業」する。
感想を聞くと、ヨンさんは「学習しやすい環境にするために自分たちで行う清掃や、牛乳が出てくる給食には驚いた。栄養が考えられていて素晴らしい」と感心していた。
ジョディーさんは「アニメで見ていた夢の学校生活が送れて楽しかった。シンガポールではカフェテリアに食べに行くので、教室で食べるのが新鮮。日本のお米のカレーライスがおいしかったです」と笑顔だった。
筆者:鴨川一也(産経新聞写真報道局)
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2025年12月27日産経ニュース【昭和レトロ探訪】を転載しています
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