路上で売春の客待ちをする行為「立ちんぼ」をする女性の動機が多様化している。繁華街では客待ち防止の対策も進むが、根絶には女性が抱える「背景」に目を向ける必要がある。
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大阪・キタの繁華街で客待ちをしているとみられる女性ら=令和5年(一部画像処理しています)

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ブランド品の購入、美容整形、アイドルの推し活…。路上で売春の客待ちをする行為「立ちんぼ」をする女性の動機が多様化している。以前は借金返済の目的が目立ったが、今は短時間で稼げるというメリットを重視する女性も。繁華街では客待ち防止の対策も進むが、根絶には女性が抱える「背景」に目を向ける必要があると指摘される。

ブランド品に推し活、美容整形も

「コンビニのバイトで手元に残る金はわずか。路上に立てばカニや焼き肉が食べられ、ブランド品も手にできる」。昨年11月、大阪府警に売春防止法違反容疑で逮捕された30代女性は、動機をこう供述した。別の女性は「推し活のライブに全額使った」と話したという。

捜査関係者によると、客待ちをする女性は、以前は悪質ホストの売掛金(ツケ)など借金を抱えているケースが多かったが、最近は歯の矯正や整形をするためなど目的も多岐にわたる。中には「性風俗で働くより、値段や相手を自由に決められる」と利点を口にする女性もいるようだ。

ただ客待ちは、体感治安や街のイメージ悪化につながりかねず、各地の繁華街で取り締まりや対策が進められている。

大阪・キタのホテル街では令和6年12月、客待ちのスポットになっていた道路が黄色に塗装された。目立つ場所には立ちづらいと感じる人間心理を利用した対策。府警の調査によると、以前は1日最大17人が客待ちをしていたが、塗装後は最大4人にまで減少した。

客待ち行為への対策のため、目立つ黄色に塗装された道路=令和6年、大阪市北区

東京・歌舞伎町の大久保公園周辺でも同様の問題があり、警視庁は数年前から取り締まりやパトロールを強化。7年の上半期だけで、女性75人を摘発した。

こうした対策は一定の効果を上げているが、当然限界もある。捜査関係者によると、女性たちはSNSで捜査員の外見情報を共有。姿を確認するといったんその場を離れ、時間をおいて戻ってくるという。また、摘発されても、同じ行為を繰り返す人もいる。

「踏み込んだ支援必要」

歌舞伎町で女性の支援活動に取り組むNPO法人「レスキュー・ハブ」(東京)の坂本新(あらた)理事長は「売春をする女性の目的や背景は多様化、複雑化してきている」と現状を説明する。

家庭不和などに悩み、発達障害がある人も多く、心のよりどころや承認欲求を満たしてくれる場所を求め、売春に行きつくことも。また、危険な目に遭っても「私はしょせんこんなもの」と、投げやりな気持ちで被害を受け入れてしまう女性も少なくないという。

坂本氏は「一人一人が抱える悩みや事情は異なる。個別の事情に目を向け、関わり続けていくことが重要だ」と指摘。「行政、警察、民間団体が密に連携し、踏み込んだ支援をしていく必要がある」と強調する。

警察当局も売春の背景にある問題を把握し、摘発した女性を福祉事務所や自治体の窓口につなげ、就労支援や住居相談などを受けられるような態勢を整えている。

大阪府警によると、困窮していた女性が売春をやめて、行政支援のもとで生活再建を図った事例もある。府警幹部は「客待ち行為は暴力や性犯罪など別の事件やトラブルに発展する危険性を伴う。取り締まりに加え、多方面の解決策を考えなければならない」と話した。

筆者:安田麻姫(産経新聞)

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