日本と中央アジア5カ国の初の首脳会合が行われ、重要鉱物のサプライチェーン強化に向けた協力などを盛り込んだ共同声明「東京宣言」を採択した。日本を取り巻く外交環境が厳しさを増す中で、中露の干渉を嫌う旧ソ蓮5カ国と日本が連携を強めることは双方にとって利益となる。
Central Asia plus Japan Dialogue

中央アジア5カ国の首脳と記念写真に納まる高市早苗首相=12月20日午前、東京都千代田区(代表撮影)

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日本と中央アジア5カ国の初の首脳会合が都内で行われ、重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化に向けた協力などを盛り込んだ共同声明「東京宣言」を採択した。

ロシアによるウクライナ侵略は4年近くにも及ぶ。台湾有事に関する高市早苗首相の国会答弁に反発する中国は、対日圧力を強めている。日本を取り巻く外交環境が厳しさを増す中で、中露の干渉を嫌う旧ソ連の5カ国と日本が連携を強めることは双方にとって利益となる。

5カ国はウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンで、レアメタル(希少金属)や原油などの天然資源が豊富だ。欧州とアジア、中東を結ぶ要衝にあり、ロシアを経ずに欧州とつながる輸送路「カスピ海ルート」を擁することなどから国際社会の関心も高まっている。

日本は2004年、各国に先駆けて5カ国との対話枠組みを発足させ、外相会談を10回実施した。昨年8月には、カザフで首脳会合を開く予定だったが、直前に南海トラフ巨大地震注意情報が発表されたため、当時の岸田文雄首相が開催を中止した経緯がある。

中露も同様の対話枠組みを持っており、中国は今年6月の会合で、中央アジア諸国と質の高い協力関係を構築する意向を示した。しかしロシアはウクライナ侵略で領土的野心をむき出しにし、融資によって途上国を借金漬けにする中国の「債務のわな」も問題となっている。

自らの「勢力圏」に取り込もうとするロシアや中国を5カ国は警戒しており、外交関係の多角化を志向している。

中央アジア5カ国首脳との会合に臨む高市早苗首相=12月20日午前、東京都千代田区(鴨川一也撮影)

今回の首脳会合は5カ国と中露の間に楔(くさび)を打ち込む狙いがある。5カ国との関係を深めることで、日本は資源調達の多角化も期待できる。高市政権下での開催を歓迎したい。

中露の行動は世界の懸念事項になっており、東京宣言では、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化や、主権および領土の一体性の尊重などが確認された。

日本が5カ国との対話枠組みを作ったのは「自由で開かれた中央アジア」に向けた民主的発展を促すためだ。アジアの安定を守るパートナーとして、高市政権には5カ国との関係強化を続けていってもらいたい。

2025年12月23日付産経新聞【主張】を転載しています

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