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種子島宇宙センターから打ち上げられたH3ロケット4号機=11月4日午後、鹿児島県南種子町(伊藤壽一郎撮影)

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日本の次世代主力ロケット「H3」4号機が11月4日午後3時48分、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から打ち上げられた。搭載する防衛省のXバンド防衛通信衛星「きらめき3号」を予定通り分離し、打ち上げは成功した。H3は初号機が昨年3月、打ち上げに失敗したが、徹底的な原因究明を行って対策を施した2、3号機は成功。4号機で3機連続の成功となり、開発も軌道に乗り始めた格好だ。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山川宏理事長は4日夜、同センターで記者会見し「打ち上げは延期が続いたが、万全を期して臨み、成功をご報告でき安堵(あんど)している。今後も実直に実績を積み重ねていく」と晴れやかな表情で語った。

H3は、今年度中に50号機を打ち上げて引退する現在の日本の主力ロケット「H2A」の後継機として開発された。H2Aは、49号機中48機の打ち上げに成功し、世界的にも高い信頼性を誇る。H3が3機連続で打ち上げに成功したことは、その高い信頼性を受け継いでいることの実証で、今後の衛星打ち上げ受注にも弾みがつきそうだ。

また4号機は、H3として初めて地球からの高度約3万6000キロに位置する静止軌道への衛星投入に挑み、成功した。静止軌道は民間衛星の打ち上げ需要も大きいことから、日本が宇宙ビジネス拡大を狙う上で、極めて重要な一歩となった。

主エンジン改良、構造単純化で低コスト…成長はまだ続く

3回連続で打ち上げに成功し、ようやく開発が軌道に乗ってきた日本の次世代主力ロケット「H3」。試験運用は2号機までで終了しているが、機体は開発の途上にあり、さらなる成長が計画されている。

新開発の主エンジン「LE9」は、現在の主力ロケット「H2A」の主エンジンよりパワーが大きい。さらに部品数が減って構造が単純化し低コスト化につながった。

ただ、初号機に2基搭載したLE9は、打ち上げ時に多少の振動が生じていた。そこで2号機は従来型と改良型を1基ずつ搭載。効果が確認されたため、3、4号機は改良型を2基搭載し、打ち上げを成功させた。さらに宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、改良型よりも振動などへの対策についての効果を高めたLE9の開発を急ぐ。

H3ロケット4号機搭載の通信衛星が計画通りに分離し、喜ぶJAXAや三菱重工業の関係者=11月4日午後、鹿児島県の種子島宇宙センター

機体展開の多様化も課題だ。初号機から4号機は、主エンジン2基、打ち上げに必要な推進力を補助する固体ロケットブースターが2基だった。大型衛星の打ち上げに十分なパワーだが、民間企業の多くが利用する小型衛星には能力が過大だ。

そのため、主エンジン3基だけで固体ロケットブースターを使わない、低パワーの機体の開発が進んでいる。小型衛星に適した推進力で、使う燃料も減らせる。逆に、大型の物資輸送などでは固体ロケットブースターを4基に増やし、衛星カバーを大型化して対応するという。

筆者:伊藤壽一郎(産経新聞)

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