当選確実となった候補者に花をつける自民党総裁の高市早苗首相(左から2人目)=2月8日午後、東京・永田町の党本部(相川直輝撮影)
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第51回衆院選の投開票が行われ、自民党が単独で、参院で否決された法案を衆院で再議決できる3分の2に達した。日本維新の会と合わせ与党は、歴史的な圧勝となった。
立憲民主党と公明党の衆院側が結成した新党の中道改革連合は公示前勢力を大幅に割り込み、惨敗した。
有権者は、厳しい国際情勢など危機の時代にある日本の政治の舵(かじ)取り役として、与党が支える高市早苗首相を信任した。
高市首相と与党には危機克服へ全力で働いてほしい。今回の勝利は高市首相への支持の高まりが大きい。自民議員はおごらず結束してもらいたい。

皇位の男系継承堅持を
高市首相は選挙戦で、国論を二分する政策への民意を問う考えを示していた。そこで、高市政権がまず取り組むべきは、日本の独立と繁栄の基盤である安全保障の追求である。
反日的で核武装した専制国家の中国、ロシア、北朝鮮の脅威は高まっている。中国発の台湾有事が懸念される。
戦後政治の対立軸は長く、防衛問題だった。日本が弱ければ平和を守れるという誤った「戦後平和主義」にこだわる左派リベラルの政党は、今回の選挙で中道を含め退潮した。
自民と維新は連立合意で、安保環境の変化に即応するリアリズムに基づく国際政治観、安保観の共有を謳(うた)っている。高市政権は戦後政治の大転換を図り、日本と国民を守り抜く現実的な政策を推進すべきだ。
外交は重要だ。高市首相は3月に訪米し、トランプ米大統領と会談する。抑止力と対処力の強化で一致してもらいたい。日米で地域を守り抜く意思と態勢を示すことだ。オーストラリアや韓国などとの安保協力推進も欠かせない。
年末に国家安保戦略など安保3文書の改定が控えている。無人機(ドローン)の大量運用など新しい戦い方への対応、防衛産業の育成を急ぎたい。防衛費と関連予算の増額も必要だ。
自分の国は自分で守るのが基本だ。そのために、スパイ防止法の制定などインテリジェンス機能の強化も急がれる。

国の根幹をなす安定的な皇位継承策の確立も待ったなしだ。男系継承という、日本の皇統の最重要原則を踏まえる必要がある。皇統に属する男系男子(旧宮家の男系男子)を皇族とするため、18日召集で調整している特別国会で、皇室典範の改正を実現してもらいたい。
憲法改正へ歩を進めたい。第9条や緊急事態条項などで改憲原案の条文化を実現すべきだ。衆院憲法審査会の会長職を改憲に慎重な野党から取り戻し、積極審議に改めるときだ。
衆院選では、消費税減税などの物価高対策が盛んに論じられた。自民は公約で、2年間に限って飲食料品を消費税の対象としない減税策に踏み込んだ。国民との約束は、政権の信頼にかかわる。
左派リベラル凋落した
ただし、責任ある財源確保策を伴わなければ国民や市場からそっぽを向かれよう。制度設計は政府や与野党などを交えた社会保障改革の「国民会議」で詰めるというが、高市首相のリーダーシップが問われる。減税と現金給付を組み合わせた給付付き税額控除の検討も急ぐべきである。
経済安保や食料・エネルギー安保の強化などの危機管理投資や成長投資を進め、「強い経済」を実現したい。令和8年度予算案の早期成立は重要だ。

比較第一党を目指して戦った中道は公示前勢力から凋落(ちょうらく)した現実を直視すべきだ。日米同盟にかかわる、米軍普天間飛行場の辺野古移設への態度を決められないなど基本政策が心許(もと)なかった。集団的自衛権の限定行使を容認した安保関連法を巡り、立民は違憲部分の廃止を訴えてきたが中道は合憲とした。立民出身者が議論を尽くした形跡はなく謝罪も反省もなかった。
有権者から「選挙互助会」だと見透かされたのは当然だろう。中道幹部は責任をとり、新体制で出直すしかあるまい。

中道だけでなく共産党やれいわ新選組も有権者から有力な選択肢とはみなされなかった。左派・リベラル勢力が野党をリードする時代は終わったとみるべきだ。国民民主党の存在感が相対的に高まるのではないか。
働き者で知られる高市首相だが適切な休養をとってほしい。健康は国政のリーダーが気に掛けるべきことである。
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2026年2月9日付産経新聞【主張】を転載しています
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