違法状態が発覚して閉鎖された沖縄県の米ワシントン事務所の問題を巡り、県議会の調査特別委員会が玉城デニー知事の証人尋問を行った。玉城氏は謝罪する一方、事務所の再開に意欲を示した。玉城氏がなすべきは、疑惑を徹底究明するとともに、二重外交といえる活動に再び関与しないことだ。
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沖縄県のワシントン事務所問題を巡る百条委の証人尋問で質問に答える玉城デニー知事=3月13日、那覇市(金城有沙撮影)

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違法状態が発覚して昨年6月に閉鎖された沖縄県の米ワシントン事務所の問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委)が玉城デニー知事の証人尋問を行った。

玉城氏は、知事としての責任を認めて謝罪した。一方で「透明性をもって活動を継続できるよう検討する」と述べ、事務所の再開に意欲を示した。

これには全く賛同できない。玉城氏は、問題の重大性を理解していないようだ。違法状態のまま長年運営された事務所の再開など論外である。玉城氏がなすべきは、百条委に協力して疑惑を徹底究明するとともに、二重外交といえる活動に再び関与しないことだ。

米ハドソン研究所のシンポジウムで講演する玉城デニー知事=2024年9月、ワシントン(共同)

ワシントン事務所は平成27年、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対などを米国に直接訴えるため、翁長雄志知事(当時)の肝煎りで設立された。

非営利事業者として登録しようとしたが米国務省から「政治的だ」と指摘され、現地の弁護士らの助言で県が100%出資する株式会社を設立した。こうした実態を明らかにせず、設立によって取得した株式を県の公有財産に登録しなかった。事務所駐在員の米ビザの取得では、県職員の身分であるのに「社長」などとし、米移民局へは「県から直接雇用されることはない」と偽った書類を提出していたという。

県は事務所の業務の大半を現地のコンサルタント会社に丸投げしていた。事務所の実態や経営状況について、地方自治法が定める県議会への報告もしていなかった。

3月13日に行われた証人尋問で玉城氏は、「反省している」とし、自ら給与の減額条例を県議会に提案したと説明した。

米軍普天間飛行場の移設工事が進む名護市辺野古の沿岸部(大竹直樹撮影)

だが、問題はそれで済まない。玉城氏が、米国内での県の反基地活動の拠点としてきた事務所について「必要性と重要性は間違いない」と述べたのは間違っている。外交と安保は国の専管事項だ。辺野古移設計画は日米両政府の約束事で、それをくつがえそうとする県の二重外交は、国益を著しく損なう。

百条委では、事務所の設立経緯を巡って米国の弁護士の証言と県の説明が食い違うなど、新たな疑問も出ている。玉城氏は全ての疑惑解明に全面協力し、事務所再開は断念すべきだ。

2026年3月25日付産経新聞【主張】を転載しています

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