ミラノ・コルティナ冬季パラリンピックのアルペンスキー女子スーパー大回転座位で滑走する村岡桃佳。今大会の日本勢第1号となる銀メダルを獲得した=3月9日、イタリア・コルティナダンペッツォ(共同)
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ミラノ・コルティナ冬季パラリンピックのアルペンスキー女子スーパー大回転(座位)で、村岡桃佳が銀メダルを獲得した。今大会における日本選手第1号の表彰台である。
「冬のパラ女王」とも呼ばれる村岡にとっては、パラ通算10個目のメダルとなった。昨年11月には左鎖骨を骨折し、練習もままならない中、ぶっつけ本番の大舞台での快挙だ。その超人ぶりには、ただただ圧倒される。
アルペン種目のスピード感は健常者の五輪競技にも見劣りしない。他のどの競技にも発見と感動がある。パラリンピックは人間の可能性の祭典であり、パラアスリートの活躍は全ての人の希望につながるものだ。

大会は、国際情勢の波にさらされ続けている。前回大会の開幕直前に始まったロシアによるウクライナ侵攻は現在も続いている。米国とイスラエルはイランへの攻撃を始めた。
ロシアと同盟国ベラルーシの選手は国を代表して出場し、国旗、国歌の使用が認められた。これに抗議するウクライナやチェコ、フィンランドなど7カ国が開会式をボイコットした。イランは選手が安全に渡航できないとして出場を断念した。
開会式の入場行進では選手不在のウクライナ国旗をボランティアが掲げて入場すると、ひときわ大きな歓声が上がった。
国際パラリンピック委員会(IPC)のパーソンズ会長は開会式で「4年前、私は世界で起きていることに恐怖を感じたと言ったが、残念ながら状況は改善されていない」と語った。ロシアのウクライナ侵攻を念頭に述べた言葉だ。

大会を覆う暗雲には憤懣(ふんまん)やるかたないが、すでに大会が始まった今は、観戦に集中したい。この日のために研鑽(けんさん)を積んできた国内外の選手らの奮闘には必ず魅了されるはずだ。
フィギュアスケートやスノーボード勢の活躍に沸いた冬季五輪に比して、パラ大会の注目度が高いとはいえない。
だが新型コロナ禍で無観客開催となった東京大会を思い出す。五輪以上に、パラの関係者は学校単位の観戦実現など可能性を探り、有観客への努力を最後まで惜しまなかった。
選手たちは見てほしいのだ。その思いに応えたい。学校現場にも、大会を教育に生かす創意工夫を求めたい。
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2026年3月10日付産経新聞【主張】を転載しています
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