病院で助産師に抱かれる新生児
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令和7年に生まれた外国人を含む子供の数は速報値で70万5809人となり、10年連続で最少を更新した。厚生労働省の人口動態統計で分かった。
厚労省が例年6月に発表している日本人に限った概数では6年は68万6061人で、初めて70万人を下回った。7年はさらに減るとの見方が強い。
死亡数から出生数を差し引いた人口の「自然減」は89万9845人で、減少数は過去最大だった。少子化、人口減ともに歯止めがかかっていない現状を深刻に受け止めねばならない。

出産適齢期の女性が減少傾向にあるため出生数の反転は難しい。重要なのは、少子化の速度を緩やかにして時間を稼ぎ、人口減でも移民国家にならずに、社会機能を維持し、豊かさを実感できる国にすることだ。
政府が最も注力すべきは、若年層の所得の向上である。賃金が低く、雇用が安定しないために結婚、出産、子育てをためらう人は多い。結婚して子供を産み育てる人を増やすには、経済的不安の解消が欠かせない。
一層の働き方改革も必要だ。子育ての負担が女性に集中する傾向は依然ある。このことは女性の社会進出や収入増を妨げ、出産意欲を低下させる要因にもなっている。男性の育児参加をもっと促したい。

政府は5年12月に「こども未来戦略」を策定し、児童手当や育児休業給付の拡充などを進めている。今年4月から対策の財源となる「子ども・子育て支援金」制度が始まる。公的医療保険料に上乗せして徴収する。
支援金についてSNS上では「独身税」と揶揄(やゆ)されている。独身者や子供のいない世帯は直接的な恩恵を感じにくいという不満からだ。政府は、少子化とそれに伴う人口減少が社会全体に与える影響や支援金の意義を丁寧に説明すべきである。
現役世代の減少と高齢化は社会保障制度の給付と負担の在り方に影響を与える。人手不足も深刻だ。地方の過疎化で地方財政は悪化し、インフラの老朽化や行政サービスの低下も問題となっている。
高市早苗首相は施政方針演説で少子化と人口減少について「わが国の活力を蝕(むしば)んでいく」と述べ、総合戦略を策定する考えを表明した。この中で人口目標と将来の国家像を示してもらいたい。
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2026年3月4日付産経新聞【主張】を転載しています
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