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直近3回の米大統領選のたびに注目される賃貸マンションが町工場の集まる東京・蒲田にある。その名も「トランプタワー」。蒲田の隠れた名所で、インバウンド(訪日客)の撮影スポットになっている。名称はカードのトランプにちなんだもので、2度目のホワイトハウス入りを果たすトランプ前大統領と関わりはないが、男性オーナーはれっきとした〝親トランプ派〟。「混沌の時代だからこそ強いリーダー像を見せてほしい」と話す。
満室続く人気、由来はカードゲーム
トランプ氏は全米屈指の不動産王として知られる。象徴的な存在がニューヨーク5番街にそびえるトランプタワー。1980年代に完成した58階建て(公式ホームページでは68階)で、セントラルパークやマンハッタンのダウンタウンが見下ろせる居住空間や高級レストランなどが有名だ。
東京都大田区蒲田にあるトランプタワーは13階建て。トランプ氏の前回大統領就任式からさかのぼること3年前の2014年2月に完成し、以降、全66部屋は常に満室が続く人気の物件だ。
名前の由来は前大統領の名字ではなく、カードゲームの方のトランプ。各マークがエースからキングまで13枚で構成されることから、マンションの階数とかけて、オーナーの小林章彦さん(76)が命名した。
小林さんは機械工具の制作販売会社を経営している。「工場が厳しくなっても不動産収入をトランプのゲームで言われる『最後の一手』として残しておきたいという思いも込めた」とし、「ニューヨークの〝本家タワー〟を意識したわけではない」と苦笑する。
オーナーはトランプ氏にシンパシー
マンションの完成後に行われた、3回の米大統領選にトランプ氏はいずれも出馬している。4年に1度、大きな注目が集まるが、隣のビジネスホテルを利用するインバウンドがマンション入り口にオレンジ色で書かれた「Trump Tower」の名前に気付き、「面白い」と記念撮影することも多いという。
小林さんは自身が経営者ということもあり、ビジネスの最前線で戦ってきたトランプ氏に「他の政治家に比べ交渉力や行動力、判断力があると思う。シンパシーを感じる」と話す。
アメリカ第一主義への警戒が日本国内にはあるが、小林さんは「拉致問題を棚上げにする北朝鮮やロシアなどと交渉するには力を背景にした外交が不可欠。トランプ氏ならそれができる」と強調。同じ共和党からの選出で史上最年少で大統領に就任したセオドア・ルーズベルト氏の掲げた「棍棒外交」を引き合いに、史上最年長で就任するトランプ氏に対し期待を込めた。
筆者:五十嵐一(産経新聞)
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