米南部フロリダ州ドラルで、ベネズエラのマドゥロ大統領の拘束発表後に喜ぶ人たち=1月3日(AP=共同)
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昨年末の3日間、中国は台湾包囲の軍事演習を実施した。年明け早々、米国はベネズエラを急襲し、マドゥロ大統領を拘束、米国に移送した。国際情勢は乱気流の真っただ中だ。ロシアのウクライナ侵略も、ロシアを支える中国の行動も、トランプ米大統領のベネズエラ攻撃も、国際法違反として非難されるべき事柄だ。そのことを承知した上で、しかし、現在の国際社会にかつてのように国際法を当てはめることは地政学的に不可能だという事実に基づいて、わが国は国益を軸に、中国共産党の挑戦に打ち勝つ現実的方法を考えなければならない。
トランプ氏のベネズエラ攻撃を最も苦々しく思ったのは中国の習近平国家主席であろう。台湾に1兆7千億円相当の武器売却を決定した米国に、台湾包囲で華々しく軍事力を展開して警告した。しかし、トランプ氏は「習氏とは素晴らしい関係だ。演習は大したことはない。心配していない」と流した。演習の度に台湾本土に近づき実戦と見まがう形で人民解放軍の力を見せつけようとした習氏の思惑を、少なくともトランプ氏はかわしてみせた。
加えてベネズエラ攻撃で人民解放軍による台湾侵攻のドレスリハーサルは霞(かすみ)のように吹き飛ばされ、世界の耳目は米国の動きに注目した。
筆者:櫻井よしこ(ジャーナリスト)
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2026年1月5日付産経新聞【美しき勁き国へ】より
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