米最高裁の関税違法判決を受け、ホワイトハウスで記者会見するトランプ大統領=2月20日、ワシントン(ロイター=共同)
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日本や国際社会は再び、トランプ関税を巡る不確実性に翻弄されることになるのか。
トランプ米政権が各国・地域に課した「相互関税」などの関税措置を違法とした米連邦最高裁の判決は、同盟・同志国まで見境なく高関税を課したトランプ大統領の手法に一定の歯止めをかけるものだ。その点では歓迎できる判断といえよう。
だが、トランプ氏はすかさず通商法122条を使って24日から全世界に10%の追加関税を課す代替策を示した。関税をてこにディールで他国を揺さぶる路線を改める気配はない。むしろ米国と各国間で新たな混乱が生じることに警戒を要する。
高市早苗政権は日本の国益が損なわれないようトランプ政権と認識の共有を図るべきだ。3月の首相訪米で予定される日米首脳会談を念頭に置きつつ、最善を尽くしてもらいたい。

トランプ政権が相互関税などの根拠とした国際緊急経済権限法(IEEPA)は、大統領に関税の発動権限を認めていないというのが最高裁の判断だ。このため追加関税を150日間適用できる通商法122条を持ち出した。今後は同法301条も含め、あらゆる法を駆使して高関税を維持するとみられる。
昨夏の日米合意で対日相互関税は15%となった。これとは別に日本車などへの15%関税もある。相互関税の代替策は10%だが、まずは適用品目などの詳細を十分に見極めたい。
先に第1号案件が決まった総額5500億ドル(約84兆円)の対米投資の扱いについても再確認が必要だ。不利な条件が求められることがないよう強く働きかけるべきである。
トランプ政権に対しては、これまで企業が支払った相互関税を返還するかどうかも問われよう。既に日本企業を含む多くの企業が返還を求める訴訟を起こしている。米政権には、国内外の企業が納得できる明確な方針を示すことが求められる。
トランプ氏が外交の武器としてきた関税措置の根拠の一つが崩されたことが、国際社会に及ぼす影響には要注意である。特に昨年、高関税の応酬で米国と鋭く対立した中国だ。トランプ氏の訪中を控える中で米中関係が変容することはないか。それが日本の安全保障や経済安保に大きく関わることを認識しておかなくてはならない。
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2026年2月22日付産経新聞【主張】を転載しています
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