
Foreign Minister Takeshi Iwaya (front right) and Chinese Foreign Minister Wang Yi (front left) met in Tokyo on the afternoon of March 22. (©Sankei by Takumi Kamoshida)
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岩屋毅外相と中国の王毅共産党政治局員兼外相が3月22日、都内で会談した。
岩屋氏は両国の共通利益を拡大する「戦略的互恵関係」の包括的推進を目指すと強調した。両氏は両国の課題と懸案を減らし、協力と連携を増やすことで一致した。

会談後には閣僚級の日中ハイレベル経済対話が6年ぶりに開かれた。日中韓外相会談も開かれ、首脳会談の年内実施へ調整を加速させることになった。
王氏は岩屋氏との会談で、日中の「関係の改善と発展を積極的に推進することが重要だ」と語った。経済対話では米トランプ政権を念頭に「一国主義、保護主義が横行している」と述べ、日中協力の重要性を唱えた。トランプ政権の対中圧力に直面する中国は、対日関係を改善し、近年減少している対中投資を増やしたいのだろう。日米同盟に楔(くさび)を打ち込むねらいもあるように思われる。
だが、中国側の実際の行動に大幅な改善がない限り、中国との関係強化はあり得ない。
外相会談では、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に伴って中国側が禁輸した日本産水産物の輸入再開の協議推進を確認した。掛け声ばかりで再開時期は明らかにならなかった。
中国当局が複数の邦人を拘束している問題も進展はなかった。この深刻な人権問題が解決しなければ日本人ビジネスマンは安心して赴任できない。

22日朝までの24時間で中国軍は、沖縄のすぐ隣に位置する台湾の周辺で軍用機のべ47機、軍艦7隻などを展開した。台湾への乱暴な示威行動は容認できない。尖閣諸島周辺での中国海警局船の領海侵入や、与那国島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内の中国ブイの問題も解決していない。
日中関係を改善し、協力を拡大する条件は整っていないということだ。石破茂首相や岩屋氏は、戦略的互恵関係という、時代にも国益にもそぐわない概念を用いるのをいい加減やめるべきだ。
ハイレベル経済対話を開いても、経済界が訪中団を送っても邦人の安全が守られないようでは協力や連携を進めるのは危うい。台湾有事の懸念もある。
首相や岩屋氏は、中国の行動を大幅に改めさせることを優先しなければならない。
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2025年3月23日付産経新聞【主張】を転載しています
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