
Tokyo cityscape (©Sankei by Yasushi Natori)
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The Science Council of Japan Has Failed―Now Shut It Down
(日本学術会議は失敗した―いまこそ閉鎖せよ)
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英語ニュース・オピニオンサイト、JAPAN Forward(JF)は、この大転換期に日本の進む道を世界に発信していきたい―。前回、こう書いて本欄を締めくくった。先日、専門家のための勉強会に出席し、さらにその思いを強くしたので、その内容を少し紹介したい。
勉強会の講師は、過日、本紙の正論大賞を受賞した外交評論家で、キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問の宮家邦彦氏。テーマは「米国が対中貿易戦争に勝てない理由」だ。宮家氏は、米国のトランプ大統領が関税を武器にして世界を相手に奮闘し、特に中国を封じ込めようとするが、結局、その任期中に目標を達成できずに終わると予測し、数々の理由を示した。その概要は近々、英字紙で発表するという。

だが、複雑な多元方程式の世界でトランプ氏の〝失敗〟を宣告するのは、まだ早い気がした。まず重要なのは、これから世界がどうなり、日本は何をすべきか、という点ではないか。宮家氏に尋ねると、興味深い答えが返ってきた。
発言をまとめると、トランプ氏の治世で、米中戦争は起きない。しかし、その後も大国同士の対立は深まり、比較的平和だった戦間期は終わり、局地的な戦争が起こる不安定で不確実な時代がやってくる。ただ、これは日本にかつてない大きなチャンスをもたらすというものだ。
なぜか。日本は敗戦後、復興し、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)して経済大国となったが、80年たっても国際社会で名誉ある地位を占めることはできていない。次のパラダイムシフトはもうすぐそこまで来ており、その大転換期に世界から信頼される日本は勝ち組になることができ、そうならなければいけないと言明した。
最後に、宮家氏は「日本は自由、民主(主義)など普遍的価値や平和と繁栄の重要性を訴え、力による現状変更に反対しながらも、正しく軍事力を使うことを学び、いまは難しくとも強い政府をつくることが必要だ」と強調した。
果たして、私たちはその準備ができているのか。リスクや変化を恐れ、保身のために身動きがとれなくなってはいないか。
上の英文(日本語訳)は、JFの若手記者、ダニエル・マニング氏が取材、執筆し、14日に掲載した記事の見出しだ。同記事は、福島原発のALPS処理水の海洋放出やロシアによるウクライナ侵略といった事案で日本が科学的な知見を必要としているとき、国費が投入されているにもかかわらず、意義ある提言を発信しない日本学術会議の活動に疑問を呈し、学術会議は一度解体し、政治活動ではなく科学の発展に尽くす組織として出直すしかないと結論付けていた。

アイルランド人のマニング氏から見ても、学術会議は大義名分を失い、改革できない組織と映る。それ以外にも、変わることができない組織や団体が日本に一体どれほどあるのか。
日本にチャンスがやってきても、日本に底力があっても、世界の動きや時代の要請に合わせて自ら変革していかなければ、チャンスは逃げていくだろう。
かくいうJFも、日英両言語のバイリンガル・ニュースメディアへと脱皮すべく挑戦を始めている。大阪では、人類の未来を映し出すとされる万博が55年ぶりに開催中だ。活力あふれる大阪で、JF初となる対面ビジネス・研修会を7月4日に開催することも決まった。JFはパートナーやサポーターと何に投資していくか、直接、話し合う機会にしたいと考えている。
自らが持つ力を信じ、ピンチをチャンスに変えていくことができるのか。それは結局、私たち自身にかかっている。JFは失敗を恐れず、新しい時代のメディアとして、チャンスをつかみ取っていきたい。
筆者:内藤泰朗(JAPAN Forward編集長)
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2025年5月19日付産経新聞【JAPAN Forward 日本を発信】を転載しています
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