米国とイスラエルによるイランへの攻撃が続く中、日本が米国から支援を求められた場合、政府は自衛隊を派遣するかどうか判断を迫られる。ホルムズ海峡への派遣や後方支援は、エネルギー供給が途絶えるなど、日本に切迫した危険が及ばない限り難しい。
KACRXP6UXZPRBDUX54DO6ZOFCE

イランの首都テヘランで立ち上る煙。米イスラエルは2月28日に大規模な軍事作戦を開始した=3月1日(ゲッティ=共同)

This post is also available in: English

米国とイスラエルによるイランへの攻撃が続く中、仮に日本が同盟国の米国から支援を求められた場合、政府は自衛隊を派遣するかどうか判断を迫られる。事実上の封鎖状態にあるホルムズ海峡への派遣や後方支援は、エネルギー供給が途絶えるなど、日本に切迫した危険が及ばない限り難しい。米・イスラエルの攻撃に対する国際法上の評価も課題となる。

派遣は安全保障関連法に基づく

米国の求めに応じた自衛隊の派遣は、安全保障関連法に基づき、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」による防衛出動か、米軍などを後方支援する「重要影響事態」が法的枠組みとして考えられる。

政府は存立危機事態の一例としてホルムズ海峡の機雷除去を挙げたことがある。日本へのタンカーの8割が通る同海峡が封鎖されれば経済活動に甚大な影響が出ることが根拠だ。ただ石油の備蓄は官民あわせて約250日分あり、「直ちに日本の存立が脅かされるほどの影響はない」(自民防衛族)との声があがる。

平成13年に米中枢同時多発テロが起きた際、政府はテロ対策特措法を制定し、多国籍軍に給油するため海自補給艦などをインド洋に派遣した。同じように、重要影響事態に認定すれば後方支援はできる。

ホルムズ海峡を航行する船舶=3月2日、オマーン沖(ロイター)

ただ「放置すれば日本への直接の武力攻撃に至るおそれ」があるなどの認定要件に「該当するとは判断していない」(木原稔官房長官)のが政府の現状認識だ。石油などが枯渇すれば「該当する」(政府関係者)との見方もある。

自衛権行使か不明な米の攻撃

米国とイスラエルの攻撃が国連憲章が認める自衛権の行使にあたるかなど、国際法上の根拠は明確ではない。日本が支援を行うには、相手国の国際法の順守が前提だ。高市早苗首相は「現段階で法的な評価はできない」と曖昧な立場をとる。

ペルシャ湾には40隻以上の日本関係船舶が取り残されている。海上警備行動を発令し、海自艦を護衛のため派遣することは自衛隊法上は可能だが、海警行動はあくまで治安維持が目的だ。「国対国の戦闘が起きている。警察官としてやる正当防衛と自衛権行使としての防衛出動は全く別物だ」(防衛省関係者)となり、法の趣旨を逸脱する恐れがある。

筆者:楠城泰介(産経新聞)

This post is also available in: English

コメントを残す