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2023年2月10日付産経新聞【正論】を転載しています
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建国記念の日にあたり
2月11日、私共は「建国記念の日」を迎へる。この日が当初「紀元節」として制定された事の意義とその後の祝日としての沿革については令和2年の当日の本欄で、又この日を明治維新の大業を改めて回顧すべき契機とする事の意味については同じく令和3年の当日に論策を掲載する機会を頂いてゐる。
本年も過去の文脈の延長の上に重ねて慶祝の所懐を述べたいのであるが、単純な祝意の表明には、果たしてそれだけでよいのかとの躊躇(ちゅうちょ)を覚える。言ふ迄(まで)もなく、私共は現在まさしく悠遠の建国以来未(いま)だ嘗(かつ)て経験した事の無い、国民の人口の逓減といふ内的な国家的危機に直面してゐるからである。
筆者:小堀桂一郎(東京大学名誉教授)