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日本固有の温泉文化の国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産登録を目指し、温泉地がある熊本や群馬など17道県が参画する「知事の会」が発足した。各知事が連携して全国的な運動に乗り出し、最短で令和8年の「ONSEN(温泉)」登録を目指す。
11月21日にオンラインで開かれた設立総会では、熊本県の蒲島郁夫知事が会長に就任。設立を呼びかけた群馬県の山本一太知事が事務局長に就いた。
蒲島知事はあいさつで「温泉は海外の人にとっても日本文化に触れることができる魅力的なコンテンツ。登録に向けて各知事と力を合わせ、全力で取り組む」と語った。
設立趣意書などによると、少子高齢化に伴う後継者不足などを背景に、国内の温泉地数は平成22年度の3185カ所をピークに令和2年度には2934カ所まで減少。行動制限が行われたコロナ禍の打撃も受け、温泉を取り巻く環境は厳しさを増していると指摘した。
山本知事は「(ユネスコ登録は)日本経済の再生にとってもタイムリーだ」と強調。事務局次長を務める石川県の馳浩知事も「全国的な盛り上がりが必要だ。知事会で情報共有していく」と続けた。
知事の会は今後、最短目標の令和8年度の登録に向けて、文部科学省や厚生労働省など関係省庁への要望活動を進めていく方針だ。
登録運動は平成30年に群馬県温泉協会などの呼びかけで始まった。コロナ禍で一時、運動は停滞を余儀なくされたが、今年に入り、全国区の運動として盛り上げようと、群馬県の山本知事らの働きかけで知事の会の設立にこぎ着けたという。
これに先立つ11月11日には自公有志議員による国会議員連盟が発足している。来年3月には日本温泉協会など民間主体の「全国推進協議会」が設立される見通しだ。
ユネスコ無形文化遺産は、日本からは人形浄瑠璃(じょうるり)文楽や歌舞伎、和食などが登録されている。知事の会では温泉文化の類似事例として2020年(令和2年)に登録されたフィンランドのサウナ文化を登録運動の参考にするという。
知事の会に参画したのは北海道▽福島県▽栃木県▽群馬県▽神奈川県▽石川県▽福井県▽岐阜県▽静岡県▽愛媛県▽兵庫県▽和歌山県▽鳥取県▽島根県▽熊本県▽大分県▽鹿児島県。
筆者:柳原一哉(産経新聞)