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Russian President Vladimir Putin and Chinese President Xi Jinping attend an official welcoming ceremony in Beijing, China May 16, 2024. (©Sputnik/Pool via Reuters)

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6月14日、主要7か国首脳会議(G7サミット)の首脳声明で、中国がウクライナへの侵略を続けるロシアを支援していることへの「深刻な懸念」が表明された。バイデン米大統領もサミットの席上、「中国は武器を製造する能力と技術を提供している。実際にロシアを助けている」と指摘している。

 

この指摘どおり、2年近くにわたる中国の対ロシア支援の事実が少しずつ明らかになってきた。例えば、昨年6月のウクライナの反転攻勢を失敗に終わらせたロシアの強固な陣地は、中国から輸出された掘削機が塹壕ざんごうの構築に大きく貢献しているとの報道だ。さらにドローン、半導体、ボールベアリンク、工作機械のほか、ロケット弾の推進剤となるニトロセルロースなど、中国による輸出の実例は枚挙にいとまがない。

 

 

弾薬数で西側が劣勢

 

ロシア支援を行っているのは中国だけではない。ロシアはこれまでに約4600機の自爆ドローン「シャヘド」を発射しているとされるが、これはイランからの支援だ。北朝鮮も100万~230万発の弾薬、及び約50発の弾道ミサイルを提供したと報じられている。ロシアと北朝鮮は6月19日に「包括的戦略パートナーシップ条約」を結び、実質的な同盟国となった。今後、ロシアの技術が北朝鮮に提供され、改良・改善された北朝鮮の弾薬・ミサイルがロシアへ供給されることも警戒すべきだ。

 

平壌で会談し調印式で握手するプーチン露大統領(左)と金正恩朝鮮労働党総書記 =6月19日(ロイター)

 

まさにこれら4か国が新「悪の枢軸」として結束を強化し、力による支配を既成事実化しようとしている。米国の戦略国際問題研究所(CSIS)が4月に出したレポートは、2024年がウクライナ戦争の決定的な年になると指摘し、このため西側諸国がロシアによる兵器増産を上回るペースでウクライナへの高性能兵器の供給を最優先するよう提言している。

 

特に弾薬はこの戦争の戦況を大きく左右してきた。CSISは、ロシアの今年1年間の弾薬生産量を約210万発と見積もっている。これに北朝鮮からの弾薬を加えれば310万~440万発に増加する。一方で西側は、米国、欧州のほか、チェコ主導の支援に応じた国々を加えても、今年1年間で二百数十万発が限界だ。

 

 

このままでは民主主義陣営は勝てない

 

このままいけば、欧州外交問題評議会が今年1月、欧州連合(EU)加盟12か国、1万7000人を対象に実施した世論調査における悲観的な予想どおりとなる。そこでは「この戦争の終わり方として最も考えられるものは何か」の問いに対し、最も多い37%が「ウクライナとロシアの交渉」による停戦と答え、ロシアとの妥協を見越している。「ウクライナの勝利」との回答は10%にとどまった。

 

我が国にとって、これは他人事ではない。台湾・日本有事に備え、弾や装備が尽きて国を守れないことがなきよう、国内の防衛装備生産基盤、日米の生産体制連携の一層の強化を含め、万策を講じていくべきである。

 

筆者:岩田清文(国基研企画委員・元陸上幕僚長)

 

 

国家基本問題研究所(JINF)「今週の直言」第1158回(2024年7月1日)を転載しています

 

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