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東京23区の過去5年間の「外国人増加率」が中央区、文京区、千代田区の都心部で急増していることが各区の人口統計の集計からわかった。外国人割合が高い区は新宿、豊島、荒川だったが、タワーマンションなど都心部の住環境や教育環境を求める中国人富裕層の動向が影響しているとみられる。
23各区の6月1日時点の人口を5年前の令和元年6月と比較した。それによると、23区全体で外国人人口は47万5457人から10万人近く増え、57万389人。5年間で約1・2倍に増加した。この間、日本人人口は約1・0倍と横ばいだった。
増加率が最も高かったのは銀座、日本橋などの繁華街やオフィス街、タワマンの多い臨海部がある中央区で、5年前の約7800人から約1・5倍の約1万1700人に増えた。2、3位は文京、千代田両区の約1・3倍で、いずれも都心の区だった。
背景には、国内に在留する外国人約341万人の4分の1を占める中国人約82万人の動向がある。
中央区は外国人に占める中国人の割合が5年前の約43%から約51%に増加。文京区は約43%から約54%に増えた。文京区は東大や国立の小中学校などがあり、教育環境が充実しているとされる。
タワマン内見25組中23組は中国人
都内の外国人専門不動産会社の社長は「中央区が増えているのは晴海など臨海部のタワマンが人気のため。文京区は子供をよい学校へ通わせたい親が選んでいる」と話す。
同社が仲介する都心のタワマンの場合、41階の2億1500万円の中古物件を内見に来た25組のうち23組は中国人で、いずれも経営者だった。このうち日本国籍を取得した4人家族はすでにタワマン2戸を所有し、子供のために3戸目の購入を現金で検討。日本語学校の関係者という4人家族は中学生と3歳の子供がおり、目黒区の戸建てからの住み替えを検討していたという。
一方で、区の総人口に占める外国人率をみると、新宿区約13%、豊島区約12%、荒川区約10%―の順。新宿や、池袋のある豊島は、交通の利便性やネームバリューから依然、中国人に人気が高いというが、目立つのは今年5月に初めて10%を超えた荒川区だ。
同区は日本語学校や、日本語力の低い学生が対象の「留学生別科」を持つ大学が多くある。1位は中国人の約38%だが、韓国人のほか、ネパール、ベトナム、ミャンマーなどアジア各国の留学生らも増えているためとみられる。