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Rescuers work amidst the debris of a school building destroyed by shelling, as Russia's invasion of Ukraine continues, in Zhytomyr, Ukraine March 4, 2022. REUTERS/Viacheslav Ratynskyi

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ロシアのプーチン大統領の暴挙というべき、ウクライナ侵攻は、世界の自由民主国家の猛反発を受けています。ウクライナ全土の侵攻は、世界の独裁的指導者ですら「やりすぎだ」と支持を躊躇する侵略行為です。

 

3月2日、ウクライナに侵攻したロシアを非難する決議を採択した国連総会の緊急特別会合(AP)

 

ですから、今この時、米国バイデン政権に、自由民主国家を結集させる戦略があれば、ウクライナの自由の存続に寄与する事が出来るような気がします。

 

イラクがクウェートを侵略した時には、米国は軍事的有志連合国をつくりました。今回のロシアの侵略に対しては、「自由ウクライナ民主同盟」を組織するのがよいと思います。

 

国連総会の緊急特別会合(3月2日)では、ロシア非難決議に141カ国が賛成し、棄権は35カ国、反対は5カ国でした。ロシアの盟友中国や旧ソ連の友邦カザフスタンさえ、反対ではなく棄権に回るほど、現在のロシアの侵略行動は国際的に受け入れられないのです。

 

日本でもウクライナを助けようという機運が盛り上がり、日本在住のウクライナ人の家族にビザを発給したり、自衛隊の装備品を贈ったり、1億ドルの援助資金を拠出するなど、特別な政策を矢継ぎ早に出しています。

 

愛知県の航空自衛隊小牧基地で、ウクライナへの物資をKC767空中給油輸送機に積み込む自衛隊員=3月8日午後(共同)

 

米国やEUも、ロシアへの経済制裁の強化と、ウクライナ援助に走っています。

 

ただ、今はウクライナを助けたいと思う国がバラバラに援助策を繰り出しているだけです。

 

一方、ロシアが、中国に武器と食料の援助を要請したとの情報もあります。各国がバラバラに援助すると、プーチン大統領に心を寄せる独裁者が密かにプーチン大統領を援助したり、経済制裁の抜け穴を大きくしたりする機会が増えてしまいます。

 

バイデン大統領は、同盟の再構築を謳っていたのですから、「ロシア非難決議」に賛成した141カ国を集めて自由ウクライナ・サミットを開いて「自由ウクライナ民主同盟」を作るべきだと思います。

 

バイデン米大統領(ロイター)

 

緊急ですから、ワシントンにいる各国大使たちが出席すればよいでしょう。主要国の首脳はビデオで出席する事もできます。

 

そして、「自由ウクライナを支持する」共同声明を出して、各国がバラバラにウクライナを援助するのではなく、ウクライナが必要とする援助を効率的に届けられるシステムを構築すべきだと思います。

 

避難民が押し寄せている、ポーランド・ルーマニア・ハンガリー・スロバキア・モルドバは、援助活動も限界に達していますが、G7各国で分担して援助する事にすれば、援助の取り合いの混乱が避けられます。例えば、ポーランドにはEUが全面的に援助して、ルーマニアにはアメリカが、ハンガリーには英国が、スロバキアには日本が、モルドバにはカナダが、というように分担すれば、それぞれの国が責任をもって援助するでしょう。

 

3月3日、ウクライナから逃れ、ポーランド・プシェミシルの駅に設置された女性と子供用シェルターで過ごす人々(AP)

 

そして、「人道回廊の安全」を求める決議をして、国連での議題にすることもできます。

 

国連平和維持軍の派遣を求める事もできます。

 

勿論、国連の安全保障理事会の決議では、ロシアが拒否権を使うので、いずれも実現しない可能性の方が大きいです。

 

けれど、各国が独自で行う武器援助などは除き、アメリカが主導して「自由ウクライナ民主同盟」を結成し、141カ国の声を結集させることができれば、アメリカは国際社会を代表するという名分のもとに、ロシアと交渉する事が出来るように、私は思います。

 

つまり、ロシアは、この戦争に対してウクライナとだけではなくアメリカ(=国際社会)とも交渉せざるを得なくなります。

 

ロシア国民が漠然と感じている、ウクライナに侵攻した事に対する国際的批判が、141カ国による「自由ウクライナ民主同盟」の結成によって、ロシア人にも自分たちの孤立と将来の経済的困難が予測できるようになります。私は、141カ国の「自由ウクライナ民主同盟」はプーチン氏のロシアを内と外から揺さぶる活躍が出来ると思います。

 

ですから、バイデン大統領に「自由ウクライナ民主同盟」をぜひ作って欲しいのです。

 

筆者:長谷川七重

 

 

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