英王室とゆかりが深く、「アカペラの王様」と呼ばれる英国の「ザ・キングズ・シンガーズ」(TKS)が緊急来日し、日本の令和を祝う特別演奏会が11日、東京都文京区の東京カテドラル聖マリア大聖堂で開かれた。演奏会には、高円宮妃久子さまが来場され、800人の観客と重厚なハーモニーに酔いしれた。
日本語で説明
この日、楽譜の入ったタブレット端末を片手に6人のメンバーが登場すると、観客は大きな拍手で出迎えた。舞台に上ったTKSの6人はまず、久子さまのお席を向いて「君が代」を斉唱した。
続いて、英王室の歴史にまつわる楽曲のほか、上皇后さまが作詞された「ねむの木の子守歌」をアカペラ調にアレンジした曲を歌い上げた。日本の唱歌「ふるさと」「竹田の子守唄」や英ビートルズなど日英両国にゆかりのある楽曲が披露されると、会場は大いに盛り上がった。
テナーのジュリアン・グレゴリーさんは、「日本の新しい令和時代を皆さまとご一緒にお祝いすることができますことを極めて光栄に思います」と日本語であいさつした。
ほかの5人のメンバーも全員がそれぞれの曲にまつわるエピソードを、ジョークを交えて日本語で説明し、会場を楽しませた。
令和は努力目標
演奏会に先立つ10日に、グレゴリーさんとバリトンのニック・アシュビーさんが都内で産経新聞とJAPAN Forwardのインタビューに応じた。
グレゴリーさんは、「美しい調和」を意味する令和について、「音楽や美しい調和(の考え方)はばらばらになった国内や世界を一つにすることができます」と笑顔を見せた。
アシュビーさんも「令和の時代の考え方は、TKSがいつも目指して努力していることに通じます」と共感の意を示した。
TKSは、英国王が創建したケンブリッジ大学キングズ・カレッジの学生6人が1968年に結成した男性アンサンブルで、これまでに何度もメンバーが入れ替わり、デビュー以来、国際的な人気を博してきた。
「特別な日」
バスのジョナサン・ハワードさんは演奏会の曲紹介で、5月1日に元号が令和と改まったことに言及。TKSが初めてのコンサートを開催したのは68年の5月1日だったことを紹介し、「私たちにとっても、特別な日です」と日本語で祝意を表した。
アンコールで1曲歌った後も拍手が1分間にわたって鳴り止まず、2度目のアンコール曲を披露。最後の演奏が終わると、会場はスタンディング・オーベーションがわき起こった。
コンサート終了後、TKSのメンバーは会場で開かれたサイン会に臨み、50人以上のファンに対し、CDや限定グッズなどにサインして、交流した。
日本人を母に持つグレゴリーさんは、「日本に対する特別なつながりを感じています。将来的には日本で過ごす時間をもっと持てればと思います」と語った。
筆者:岡田美月