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「慰安婦捏造記事裁判」完全勝訴の意義

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元朝日新聞記者の植村隆氏が私を相手に起こした慰安婦捏造ねつぞう記事訴訟の高裁判決が3月3日に出た。地裁に続き私の完全勝訴だった。植村氏は、私が著書や雑誌論文などで同氏の1991年8月と12月の元慰安婦金学順氏に関する記事を捏造と評論したことを、名誉毀損だと訴えた。

 

 

高裁も認めた記事の捏造

 

名誉毀損による損害賠償請求が棄却されるためには、次の二つの要件が求められる。第一に、内容が公共の利害に関すること(公共性)であり、目的が専ら公益であること(公益性)だ。第二に、書いた事実が真実であること(真実性)、または真実であると信じるに足る相当性があること(真実相当性)だ。

 

公器である新聞の署名記事に対する評論は、公共性と公益性がある。地裁も高裁もこの点は容易に認めた。争点になったのは、私が評論で指摘した次の三つの事実の真実性・真実相当性だ。高裁判決からその部分を引用する。

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①「控訴人(植村)は、金学順が経済的困窮のためキーセンに身売りされたという経歴を有していることを知っていたが、このことを記事にすると権力による強制連行という前提にとって都合が悪いため、あえてこれを記事に記載しなかった」

 

②「控訴人が、意図的に事実と異なる記事を書いたのは、権力による強制連行という前提を維持し、遺族会の幹部である義母の裁判(元慰安婦への賠償請求訴訟)を有利なものにするためであった」

 

③「控訴人が、金学順が『女子挺身隊』の名で戦場に強制連行され、日本人相手に売春行為を強いられたとする事実と異なる記事をあえて書いた」

 

地裁に続き高裁でも①②は真実相当性が、③は真実性が認められた。特に③の真実性が認められた意味は重大だ。植村氏が「日本軍による強制連行」という認識はなかったのに、あえて事実と異なる記事を書いたと断定したからだ。判決は私の評論と同じく、「植村記事は捏造」という結論を下したのだ。

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植村氏への反論

 

植村氏が社長を務める週刊誌などが、西岡は裁判での尋問で著書や発言の捏造を認めたと主張している。簡単に反論する。彼らが問題にしている拙著『よく分かる慰安婦問題』でのハンギョレ新聞引用の誤りは、植村氏が裁判を起こす前の2014年9月5日発行の文庫版第2刷で訂正した。なんと、植村氏が裁判所に提出した拙著のコピーは訂正後の文庫版第3刷のもので、そこではきちんと誤りは訂正されていた。

 

また、彼らは、週刊文春の私の談話に「親に身売りされて慰安婦になったと訴状に書き」とあるが、金学順氏の訴状にはそのような記述はないと非難する。しかし、訴状には、貧乏のため普通学校をやめ、養女となってキーセン学校に通い、養父に日本軍慰安所に連れて行かれた、と書いている。当時の社会状況を知る専門家からすれば、この記述は「親に身売りされて慰安婦になった」ことを意味する。学術書ではない一般向けの談話だから意味することを端的に語っただけで、捏造、つまり意図的にウソをついたという批判は全く当たらない。

 

筆者:西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)

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国家基本問題研究所(JINF)「今週の直言」第662回・特別版(2020年3月10日付)を転載しています。

 

この記事の英文記事を読む

 

 

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