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「6月4日」香港人抵抗の火は消えず

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19世紀の英女王の名を冠した香港のビクトリア公園は、民主派の聖地である。

 

中国の民主化運動を武力鎮圧した天安門事件の犠牲者を追悼するロウソク集会が、30年以上にわたりここで行われてきた。2019年に頻発した大規模デモ行進の出発地点に選ばれたのも、ビクトリア公園だった。

 

香港警察は天安門事件から32年の4日、その聖地を封鎖。事件後初めて、追悼集会を同公園で開催できない事態となった。

 

ここまでは、中国・香港当局の思い描いた通りだったろう。しかし、ドラマが起きたのはそれからだ。

 

夜になると、ビクトリア公園周辺や繁華街で、若者らがロウソクの火やスマートフォンのライトをともし、独自の追悼活動を始めたのである。

 

数十人のところもあれば、百人、千人を超えた場所もあったと報じられている。数日前から香港政府側が「天安門事件の追悼集会への参加は、香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いがある」などと警告していたにもかかわらずだ。

 

「君たちの行為は全て録画されている。すぐに解散せよ!」と拡声器でがなり立てる警官。19年のデモのスローガン「香港を取り戻せ、私たちの時代の革命だ!」を連呼する市民ら-。現場の騒然とした状況をニュース映像は伝えていた。

 

昨年6月末の国安法施行以降、香港では言論や集会の自由が大幅に規制されている。民主活動家らが次から次へと逮捕される中、多くの市民が街頭に出て自らの意思を示すのは久しぶりのことだった。

 

「香港人は自分たちの思いを捨てたのではなかったのですね…」。参加した20代の女性が地元メディアの取材に、驚きと安堵(あんど)の気持ちを表している。

 

街頭ばかりではない。いくつかのレストランは、電灯を消してロウソクの火だけで客を迎えた。7カ所の教会では追悼ミサが、香港大では約20人の学生によって追悼活動が挙行された。参加した男子学生は「暗黒時代にあっても、香港人が良心と信念の火を持ち続けることを信じている」とコメントした。

 

米国総領事館でも、通りに面した建物の全ての窓に400本もの電子ロウソクを飾り、連帯を示した。

 

ビクトリア公園での追悼集会を主催してきた民主派団体の幹部、鄒幸彤(すう・こうとう)氏(37)が逮捕されたのは4日朝のことである(5日保釈)。同公園で独りで追悼活動を行う計画だった。

 

たまたま逮捕当日の香港紙に彼女の寄稿が掲載されている。その中で、「ビクトリア公園は天安門広場から民主化運動を受け継いだ」と強調。香港の自由と民主を取り戻すためにも、〝ロウソクの火〟を絶やしてはならないと訴えていた。

 

確かに、ビクトリア公園は「香港の天安門広場」と化した。これから毎年6月4日になれば、警察当局が厳戒態勢を敷いて、追悼集会の開催を断固阻止しようとするに違いない。

 

だが今回、香港市民は危険を顧みることなく街頭に立って、ロウソクの火やスマホの光をともし、体制に逆らった。

 

それは、もはや〝追悼の灯〟ではない。〝抗議の火〟〝抵抗の火〟であることを中国・香港当局は忘れない方がいい。

 

香港をまるで植民地のように扱い、香港人に同化を迫る中国共産党へのレジスタンスなのである。

 

筆者:藤本欣也(産経新聞外信部編集委員)

 

 

2021年6月7日付産経新聞【緯度経度】を転載しています

 

この記事の英文記事を読む

 

 

Kinya Fujimoto is an editorial writer and an Editorial Committee member for the Foreign News Department of the Sankei Shimbun.

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