【主張】住所に「尖閣」明記 有人化に乗り出すときだ

 

沖縄県石垣市議会が、行政区域内にある尖閣諸島の住所地名(字(あざ)名)に「尖閣」を加える議案を可決した。

 

「石垣市登野城(とのしろ)」だった尖閣諸島の字名は、10月1日から「石垣市登野城尖閣」に改まる。

 

「登野城」の字名は石垣島の中心部にも存在している。混同を避けるための変更だが、日本の実効支配を明確にする上でも意義がある。

 

心もとないのは、安倍晋三政権や沖縄県の反応だ。

 

菅義偉官房長官は22日の会見で「政府としてはコメントすべきではない」と語った。玉城デニー知事は12日の会見で、変更は「市町村の事務」との認識を示すにとどまった。沖縄慰霊の日の式典での首相や知事の挨拶(あいさつ)でも、尖閣をめぐる危機への言及はなかった。

 

地元自治体とともに尖閣を守り抜く気概が一向に伝わってこない。尖閣を奪おうと狙っている中国が「日本与(くみ)し易(やす)し」とみなすことを心配したらどうか。

 

中国外務省報道官は字名変更を「中国主権への重大な挑発」と非難し「さらなる対応を行う権利を留保する」と語った。日本政府は中国の荒唐無稽な言い分を、行動によりはねつけねばならない。

 

字名は変更したが、尖閣は現在無人で、便りを届ける相手はいない。自民党は平成24年12月の衆院選の公約に尖閣への公務員常駐を掲げたが、政権復帰後は放置した。無人なら占拠しやすいと中国は考えるだろう。

 

政府は、自衛隊を含む尖閣有人化に踏み切るべきだ。政府が設置する灯台や気象観測所、漁船の待避施設も必要である。

 

石垣市議会は意見書で、尖閣周辺海域で日本漁船が安心して操業できる体制強化を政府に求めた。この海域では中国海警局の公船が71日連続で徘徊(はいかい)し、過去最長を更新中だ。6月22日には公船4隻が領海侵入し、政府は中国に「誠に遺憾」と抗議した。海警局は21日から、有事や合同演習の際に中国海軍と同じ指揮系統で運用されるようになった。海軍との融合が一層進むことは危険極まりない。

 

18~20日には、鹿児島・奄美大島沖の接続水域内を外国潜水艦が潜ったまま航行し、河野太郎防衛相は「中国のものと推定している」と公表した。日本の領海に迫る特異な行動である。
政府は、中国を恐れずに日本の海と島々を守ってもらいたい。

 

 

2020年6月24日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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