Announcing ‘Whaling Today’ Website: Voices from Where Whaling is a Way of Life
(新ウェブサイト「ホエーリング・トゥデイ」開設:捕鯨で生きる人々の声を伝える)
英語ニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」(JF)はこのほど、クジラに関する日本文化を世界に英語で発信する新しいウェブサイト「Whaling Today(今日の捕鯨)」(WT)を、日本鯨類研究所の協力を得て立ち上げた。JFのトップページ右側のバナーをクリックすると、WTにジャンプする。
上の英文(日本語訳)は、新サイトの開設をお知らせするJF記事の見出しである。なぜ、今なのか。
「日本はクジラ殺しをやめよ」-。米紙『ニューヨーク・タイムズ』がこんな見出しの社説を掲載したのは2018年の大晦日(おおみそか)である。社説では「世界の大多数の国々では、クジラ殺しを許容しうる時代はもう終わっている」との主張を展開した。
日本が翌19年6月に国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し、7月、31年ぶりに商業捕鯨を再開すると、米公共ラジオ局は日本のことを「国際ルールを著しく無視する海賊捕鯨国家」と呼ぶなど、欧米メディアは日本の「残忍さ」や「野蛮さ」を非難する罵詈(ばり)雑言を浴びせかけた。
同じ捕鯨国のノルウェーやアイスランド、デンマークなどが同様に批判されることはなかった。一方で、日本側の主張が欧米メディアでしっかりと取り上げられることもなかった。
それから1年。今夏は、新型コロナウイルスの感染拡大もあり、国際的な対日批判は下火になっている。だが、日本バッシングは感情的な分、再燃しないとの保証はどこにもない。
静かな環境の今こそ、しっかりと日本の主張や捕鯨の歴史、クジラ文化の魅力を伝え、世界に仲間をつくるチャンスなのだ。再び日本叩(たた)きが始まったときの情報面での備えでもある。
そんなWTの編集には、捕鯨の町として知られる和歌山県太地町に住む米国人研究者、ジェイ・アラバスター氏(45)が当たる。10年前、太地町のイルカ追い込み漁を描いた映画『ザ・コーヴ』が米アカデミー賞を受賞した際、AP通信の記者として太地町を取材で訪れたのがきっかけで、日本の捕鯨文化を研究する道を歩むことになった人物だ。
同氏は「最初、親捕鯨派外国人として宣伝に使われるのではないかと躊躇(ちゅうちょ)したが、日本では、漁師はもちろん、学者や料理人、芸術家、一般の人まで実に多くの人々が捕鯨を支持している。この事実は、欧米では伝えられていない。賛同するかどうかは別に、捕鯨で生きる人々の声を世界に届けることは重要なことだと悟り引き受けた。欧米では反捕鯨で結論が出た古い議論に新たな視点を提供できればうれしい。期待してほしい」と話している。
ただ、気がかりなのは、日本のクジラ食文化が断絶していることだ。商業捕鯨を再開しても、需要がなければどうにもならない。日本はクジラを食べ、その部位を余すところなく利用してきた。そんな文化を守りながら、新たなクジラ文化を育てていくことができるのか。
JFは、議論を恐れず、日本が古(いにしえ)の時代から築き上げてきた捕鯨文化、時代とともに変化した捕鯨、そして未来の捕鯨の形についてもWTとともに世界に発信していきたい。
(JAPAN Forward編集部)
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※「日本を発信」シリーズは、産経新聞のオピニオン面に掲載された記事を転載しています。