はやぶさ2、小惑星を出発 来年末に地球帰還へ

 

 

探査機「はやぶさ2」が11月13日午前10時5分、地球への帰還に向け小惑星「リュウグウ」を出発した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、約8億キロを飛行して来年末、6年ぶりに地球へ戻る。

 

はやぶさ2は地上から送った信号に従い姿勢制御用のエンジンを噴射し、高度20キロの通常位置から秒速9・2センチで上昇を開始した。機体は正常という。

 

12月3日以降、機体を加速するためのイオンエンジンの連続運転を開始し、帰還に向けた本格運用に入る。地球の上空に到達すると、採取したリュウグウの物質を納めたカプセルが切り離され、オーストラリアの砂漠に落下する。

 

統括する津田雄一プロジェクトマネージャは「貴重なお土産と、夢中なひとときをくれたリュウグウをついに出発します。あなたのおかげで地球人はよい年をとることができました」とのコメントを発表した。

 

 

高めた技術「火星」に生かす

 

小惑星リュウグウで全ての任務を遂げたはやぶさ2は、想定外の事態に直面しながら、綿密な検討と工夫で困難を乗り越えた。トラブルが多発した初代はやぶさの反省を十二分に生かし、日本の宇宙探査技術の成長を世界に示した。

 

最大の試練は2月に行った最初の着地だった。リュウグウは予想に反して岩だらけで、安全に着地できる場所がほとんどない。チームは降下訓練で機体の性能を徹底的に調べ、設計上の性能を大幅に上回る精度を引き出して狭い平地への着地に成功。初代の失敗を繰り返すまいとする意地もうかがえた。

 

2回目の着地は重大な決断を迫られた。人工クレーターを作り地下の物質を露出させる準備作業は見事に成功したものの、着地にはJAXAの幹部から慎重論が出た。失敗すれば、2月に採取した物質すら持ち帰れない恐れがあったためだ。だが緻密な分析で安全を確保できると判断し、実施に踏み切った。慎重さと大胆さを併せ持つチームの底力が出た形だ。

 

復路の成否はイオンエンジンが鍵を握る。初代はやぶさは4基が全て故障し危機に陥った。耐久性の向上策によって正常に帰還できるか注目される。

 

小惑星探査で世界トップの地位を確立した日本。現時点で後継機の計画はなく、次は火星の衛星で世界初の物質採取を狙う。はやぶさ2のメンバーの多くが参加する見込みで、令和6年に探査機を打ち上げる。

 

小惑星と比べ重力が大きく物質の採取法も異なるが、着地点の選定などでノウハウが役立つ。はやぶさ2の技術を新たな舞台で生かせるか世界が注視している。

 

筆者:草下健夫(産経新聞科学部)

 

 

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Takeo Kusaka

Author:

Takeo Kusaka is a senior staff writer of the Sankei Shimbun Science News department.

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